2月11日(木)晴れ
次の日曜日、2月14日はバレンタインデーですね。
手作りチョコを作りたいので、やりかたを教えて欲しいでおじゃる〜と、
えりかちゃんがうちに来ました。


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たまき:えりかちゃんいらっしゃい、待ってたよ。
    あれ?制服なんか着て、きょう学校だったの?

えりか:部の用事があって、ちょっと寄ってきたんです〜。
    お買い物も同じ部の子と一緒に行ってきたんですよ。

たまき:・・・なんか重そうだね。
えりか:チョコが重くて〜。ふい〜。(ドサリ)

たまき:・・・たくさん買ってきたね。
    ナッツやらチョコペンやら・・・トッピング用のチップまで?
    こんなにたくさん。・・・いったい何人に配るの?

えりか:心を込めて、世界に一つだけのオリジナルチョコを、ただ一人にです。
    届け、えりかのこの気持ち、ってわけでおじゃるよ。

    でもそれなのに、ワゴンにこういう綺麗なパーツがぶら下がっていると、
    えりかは、み〜んな欲しくなっちゃうんです。
    このトッピングを買っていったら、
    可愛いチョコが更に可愛くなるんじゃないかと思うと、
    ついつい、「これもこれも」と買ってしまうのです。

    ・・・お人形者なら、この気持ちはなんとなくわかるはず。(笑)




たまき:?・・・それで、どんなのを作るの?
えりか:やっぱり相手を驚かせたいから、凝りに凝りまくったチョコを作りたいですね〜。
    かわいいのとか〜、ケーキみたいのとか〜♪

たまき:男の子って、凝ったもの作ってあげてもあんまり驚かないもんだよ。
    まるっきり作り方を知らないから、大変なんだか簡単なんだか、
    わからないんだろうね。

えりか:そうなの〜?
たまき:わたしのときは、そうだったよ。
    そう。


    あれは、わたしが高校2年のとき・・・。

・・・回想・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2月14日の夕方、いつもの時間にいつもの場所、彼はそこにいました。
私に気がついた彼は、ニコッと笑っていつものように片手をあげます。
街路樹の影が彼にさし、不思議な陰影を作っていました。


たまき:(タタタ・・・)ごめんね、待たせちゃった?
    あのさ、あの、(ゴソゴソ)これ、あげるよ。
    昨日、たまき頑張って作ってみたの・・・。    
    だから、ほかの子のチョコはあとにして、これを一番最初に食べてね♪
    ・・・はい。




えりか:でも〜、えりかとしては、それなりに挑戦したいんですけどー。
    このトリュフチョコ・・・ですか?
    これオイシソウですね〜♪

たまき:あと、中にお手紙入れといたから・・・。
    ・・・あれっ?もう、回想終わり?(笑)

えりか:ちょっと先輩、えりかのはなし聞いてますか〜?
    やだなぁ、もう。

たまき:・・・ああ、ご、ごめんなさい。
    トリュフチョコ?これは結構簡単で美味しいよね。
    パウダー散らすとカッコ良くなるしね。
    

えりか:材料は揃えてきたんです。クールベチュールチョコと〜、ココアと〜、
    なまくりーむと〜、トッピングの具の皆さん。あとお酒の小瓶。

たまき:クーベルチュールチョコだってば。
    ・・・材料は、そろってるね。
    じゃあ、わたしボウルとか出してくるから待ってて。


    ・・・そう言えば、
    あのときのチョコも、トリュフチョコだったな。


・・・回想・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

バレンタインデーの前日、13日の夜。
おうちの台所で、そのチョコを作っていました。
オリジナリティを出そうと思って、チョコッと工夫しました。・・・なんちて♪(寒)


たまき:ママ〜、あっち行っててね。邪魔しないでよ〜。
    ・・・さてと。
    ありきたりじゃつまんないから、いろいろ凝った事をしてみようかな。
    あいつ、きっとびっくりするよ♪


    柔らかいチョコを硬いチョコでコーティングしたのを
    「トリュフチョコ」って言うのかぁ。
    ふう〜ん、難しそうだな・・・。
    まずは中に入れる、ガナシュクリームっていうのを作るのか〜。
    これって要するに、生クリームと刻んだチョコを混ぜた物だね。
    ふむふむ。

えりか:なるほど。それでまず生クリームをあっためるんですね。
    これ、沸騰するまでやっちゃっていいのかなぁ。

たまき:ああ、だめだよ。30度くらいのほうがいいよ。
    
チョコはこの温度で溶けるから。
    
・・・って、もう回想が終わってるぅ。(泣)

えりか:はーい。30度までコトコト温めます〜。
    ホレロチュチュ、パレロチュチュ〜・・・。はい!

たまき:最近の製菓用チョコって、最初から砕いてあるのね。
    これ便利だなぁ。はい、ざらざら。(ザラザラ)
    チョコが溶けたらお酒を少々いれてね。
    あんまり入れるとチョコが固まらなくなるから、ちょっとね。

えりか:キルシュをトクトク・・・。
    これくらい入れれば、なんだか内側からピリピリくるような感じになるかな?




たまき:それはそのまま冷ましといて、つぎは外側の硬いチョコを作ろう。
    こっちはちゃんとテンパリングしないとね。

えりか:えりか、そのテンパリングが良くわかんなくて〜。
たまき:ちゃんと温度に気を付けてやれば簡単だよ。
    テンパリングの手順は、今のうちに覚えておこう。

    まず湯煎で、50度くらいでチョコを溶かして、
    それから26度まで下げて、
    そのあと30度まで上げるの。
    32度まで上がっちゃったら失敗ね。

えりか:うう〜。
たまき:じゃあまず50度で湯煎ね。
    50度のお湯を大きいボウルに入れて、

    
さらにそのなかに一回り小さいボウルを入れて、
    そこでチョコを溶かすの。
    お湯とか湯気とか、水分をチョコに入れないように気を付けてね。
    水分が混ざると、チョコがきれいに固まらなくなるから。
    わたしはガナシュクリームを泡立ててるよ。


えりか:あ、そうだ、先輩。えりかの必殺技なんですけど、
    ガナシュクリームの中に、この「クラッシュドアードモン」を入れてください。
    ポリポリ感で、きっとハートのキングを射止められると思うです〜。

たまき:クラッシュド・アーモンド。・・・ねぇ、わざと間違ってない?(笑)
えりか:そんなことないですよう、師匠。
    ええと、50度で26度で30度で・・・。
    ああん、もう頭がうじゃうじゃになってきました〜。(泣)
    ・・・でも、えりか頑張る!

たまき:見てるから、一人でやってみて。
えりか:ウィ!


あの時は、砕いたクーベルチュールチョコなんてなかったから、
チョコのブロックを、がりがり自分で削りましたけど、
あれも結構大変だったなぁ。

・・・回想・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それはともかく、
普通のトリュフチョコって丸い物みたいだから、それとは違うチョコを作ろうと思いました。
それは、ロールケーキみたいなトリュフチョコです。

セロファンの上にホワイトチョコで細く斜めに線をひいて、
その上からテンパリングしたブラックチョコを薄く流します。
それがちょっと固まってきたら、1センチ間隔くらいの溝をまっすぐに入れます。

そのうえにガナシュクリームを薄く敷き詰めて、
セロファンをはがしながら、チョコを溝に沿って折りながら巻いていきます。
最初にホワイトチョコで描いた模様が表側になって、シマシマになっています。
巻き終わったら、端のところを切り落として出来上がりです。
切り口は、綺麗な渦巻き模様♪

・・・初めてなのに、うまくいったなぁ。
あいつの驚く顔が目に浮かぶよ。くふふ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

たまき:チョコの温度、下がった?
えりか:ええとねー、28度です。
たまき:良く混ぜながら、ゆっくり冷ましてね。
    ガナシュクリームは、絞りだし袋に入れておいたよ。
    もう、ニューッと出しとこうか。

えりか:そうですね。お願いします〜。
    えりかは、いまのうちに30度のお湯を作っておきまつ。

たまき:お湯につけた温度計を、そのままチョコに刺さないでね。
    よしよし・・・うまく行きそうだね。頑張れ頑張れ。


えりか:さっき、「男の子は凝ったものを作ってあげても驚かない」って言ってましたよね。
    先輩のときはどうだったんですか?

たまき:え〜?・・・えへへ。
    私はロールケーキみたいに巻いた、トリュフチョコをあげたのね。
    太さは3センチくらいかな。
    外側にはホワイトチョコの模様が入ってて、中は渦巻きになってるの。

えりか:おおぉ。
たまき:そいつ、翌日私になんて言ったと思う?
   「巻寿司みてぇなチョコだったな」って言ったんだよ〜。ひどいよね。

えりか:そうですねぇ。でも、先輩はお菓子作り上手だからなぁ。
    そのチョコだって、なんだかんだ言って、
    簡単に作っちゃったんじゃないですかぁ?

たまき:・・・それはどうかな。

えりか:それに比べて、えりかはチョコを溶かすだけでパニックですよう。
    あっ30度です。
    最終調整開始!・・・はううぅ〜、緊張するなぁ。

たまき:だいじょぶだいじょぶ。
    お湯の温度を30度に保てば、自然とチョコの温度も保てるからね。
    ガナッシュクリームの用意はできてるよ。


えりか:このガナシュクリームの切れ端に、テンパったチョコをつけて固めれば、
    えりかのトリュフチョコの完成ですね。

たまき:チョコが固まる前に、ココアパウダーやカラーチップを着ければ、
    いろいろとアレンジできるよ。
    わたしがお湯の温度を見ているから、
    えりかちゃん、どんどん作って。

えりか:はぁ〜い!
          
          
          
 紅蘭:なんやええ匂いがするなぁ。今夜の夕飯はチョコレートやな〜。
たまき:なんでゃねん!ビシ(>0<)/
 紅蘭:ええツッコミやな、たまき。(笑)
    FF8おもろいでぇ♪朝からぶっ続けで、気が付いたら夕方や。
    ・・・うち、幸せやなぁ。
    ああ?えりかも居ったんか。




えりか:えっへん。えりか、先輩に教わってバレンタインデーのチョコを作ったんですぞ。
    あとはラッピングをまきまきして終わりです。
    はい紅蘭。これは余分に作ったの。

 紅蘭:おおきに〜、うち、朝からゲームやってて、何も食べてないんよ。
たまき:朝から?・・・あきれた。
 紅蘭:ええやんか〜。
    ・・・あっ、・・・・これ、
    マヨネーズ入ってへんよな?

えりか:アハハハハハ。
    な〜にバカなこと言ってるんですか、紅蘭。
    チョコとマヨは、全然合いませんよ〜。アハハハハ。

 紅蘭:そら、うちもそう思うけどな〜。
    ・・・なんで、うちが笑われなあかんねんな〜。


たまき:ところで、えりかちゃんは、このチョコを誰にあげるの?
えりか:・・・えりかの、大事な大事な人です。
 紅蘭:大事な人?
えりか:・・・

 紅蘭:パパぁ?うっわ〜。ホンマ?
たまき:へえ〜。お父さんにあげるんだ。
えりか:へへへ。そうなんですよ。
 紅蘭:・・・ああ、ほんとのパパか。(笑)
たまき:なぁに?
 紅蘭:いや、何でもないです。
    でもええなぁ、お父はんにチョコを作ってあげるやなんて。


えりか:えりかの大好きなパパは、頼りになって、物知りで、優しいんです。
    あたまがハゲてて、ちょっとカッコ悪いんですけど〜、
    そんなパパに、えりかの心のチョコをあげるんですよ〜ん。

 紅蘭:へぇ〜、ほな一個いただくで。
    ・・・・・・ふんふん。

えりか:どうです〜、えりかのチョコ。
 紅蘭:中が柔らかくて、外が硬くて・・・。
えりか:うんうんっ。中のチョコの味付けもなかなかでしょ♪
 紅蘭:・・・うちが大阪にいたころ、よう食べた「たこ焼」を思い出すなぁ。
    ほんまの「たこ焼」は、中まで火を通さんのや。
    このチョコ中にタコ入れたら、おもろいのとちゃうか〜?(笑)

たまき:ちょっと、紅蘭!
えりか:・・・い、いいんですよ〜、先輩。
    じゃあ、
    こっちのトリュフチョコはどうかな〜。

 紅蘭:どれどれ・・・・・・ふんふん。(⌒▽⌒)
たまき:あっ、それは中身が・・・。

えりか:どうです?チョコとマヨネーズって、ほんっとに合わないでしょ〜。(笑)
    さっき一応、合うかどうか試してみたんですが、

    
マヨ好きのえりかでも、こ〜の味は許せないなって言うか〜。
 紅蘭:・・・・・・あ・・・・・・。(⌒▽⌒;;;)
たまき:ああ、食べちゃった。
    大丈夫?紅蘭。

えりか:えりかの大事なチョコにタコ入れろと言った罪は、それで許してあげましょう。
    それではまた今度!
    
あなたのハートにおちゃっぴ〜♪

たまき:紅蘭?紅蘭てば〜!
 紅蘭:・・・・・・・・・・・・。((T▽T;;;))プルプルプルプル

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・・・あのチョコ、
私は試さなかったけど、一体どんな味がするんでしょうね。(汗)

それにしても、今年のバレンタインデーは何もなくてつまんないなぁ。
私もお父さんにあげようかな。
でもそんな事すると、これから毎年楽しみにされちゃいそうだしなぁ。(笑)
う〜。

・・・では、
おやすみなさい。




   
 



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