8月17日(火)晴れ
人のために何かをしてあげて「ありがとう」と言われたら、
とても幸せな気分になれます。
でも、いつもそうとは限りませんよね。
迷惑がられたり。
そういう時って悲しいです。
それが、思ってもみない相手だったりした時は特に・・・。

今日は、つらいことがありました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

キサラ:まいど、こんちわー。ホンランいる?
たまき:キサラさん。いらっしゃい。
    紅蘭なら部屋にいますよ。
    キサラさん、うちに来るのは1月ぶりくらい?
    ・・・ちょっと久しぶりですね。
キサラ:うん。ここの所は、わざと来なかったの。
    ホンランにエアコンが壊れてるって聞いてたからね。
たまき:ああ、なるほど。


 紅蘭:そんで、ウチと街の喫茶店で仕事の打ち合わせしててんなぁ。
キサラ:いや〜、それにしても、今日も暑いわ。
    日が眩しくて、目が痛いし。
たまき:でも、カラッとしてて気持ちいいですよね。
    わたし的には、一年中このくらいの気候でも・・・
キサラ:うそ〜。そりゃないよ。
    あたしなんて、直射日光を浴びただけでクラクラしてんのに。
    外を歩いていると、太陽光の圧力を感じるね。
    光の圧力を推力にして飛ぶ飛行機がもうすぐ出来るって言うけど、
    作った人は、きっとあたしとおんなじ体験をしてるよ。
たまき:う〜ん。
 紅蘭:たまき、暑うないのん?
たまき:もちろん暑いよ。
    でも、キライじゃないけどなぁ。
キサラ:・・・激カラ好きみたいなもんかな〜。
    あの人達って、あたし達が食べられないくらい辛い食べ物を、
    「カラ〜い!」って言いながらもオイシソウに食べるじゃない。
    あれに近い気がする。
 紅蘭:せやなぁ!
    そんな気がするわ。
たまき:・・・・・・そうかなぁ〜。

暑い日の午後

 紅蘭:んで、キサラはん。
    今日はどないしたん?
キサラ:ビジネスの話だよ、相棒。
    先月初めに収めたクライアントが、今度は大きいのを頼みたいって。
 紅蘭:あれは頑張ったからなぁ。
    そうか〜。ちゃんと評価してくれはるんやね。
キサラ:そういうこと。
    それで、さしあたっての資料を持ってきたから、
    打ち合わせしようと思って。
 紅蘭:分担や日程も、わかる範囲で決めておこうか。
たまき:私、ジュース入れてくるよ。
 紅蘭:ああ、ええよ〜。
    そんなんウチらがやるわ。
たまき:・・・そう?
    冷蔵庫にスイカが入っているから、あれ食べてもいいよ。
    それじゃあ私、自分の部屋にいるね。
 紅蘭:はいな。


 たまき:紅蘭とキサラさん、大変だなぁ。
     お仕事を自分達でやるって、そういうことなんだろうな。
     頃合い見計らって、追加のジュースを持っていってあげようかな。
チャイム:ピンポロロ〜ン
 たまき:・・・・・・今日はお客さん多いな。
     は〜〜い。

たまき:あん、えりかちゃんと真玄君!
    いらしゃい。
えりか:こんにちわぁ先輩!
    本当は真玄君が退院してからすぐに来ようと思ってたんですけど、
    お盆はおばあちゃんちに行く予定だったんで、
    その間、どうしても来れなくて遅くなっちゃいました。
    ごめんなさい。
たまき:気にしないで。
    それにしても、真玄君、元気になってよかった。
    ね。
 真玄:・・・・・・・・・・・・・・・。
たまき:・・・・・・? 真玄君?
   
真玄君・・・・・・、わたしと目を合わせてくれない。

真玄君の豹変

えりか:あのときは、本当にありがとうございました。
    先輩が助けてくれなかったら、真玄君は・・・・・・。
たまき:気にしないでってば。
    私とえりかちゃんの仲じゃないさ。
えりか:そうは行きませんよう。
    いっくら感謝しても足りないくらいです!
    ほら、真玄君もちゃんとお礼言わなきゃ。
 真玄:・・・・・・・・・・・・・・・。
えりか:・・・真玄君、お礼は?
 真玄:あの、ありがと・・・・・・たま姉ちゃん。
えりか:こらっ!ちゃ〜んと言いなさい。
    どうしたの?さっきまで元気だったのに〜。
 真玄:だって・・・・・・。

たまき:(真玄君、どうしたんだろう。・・・なんかヨソヨソしいなぁ。
    ・・・いいよ、えりかちゃん。
    真玄君だって、おばあちゃんちから帰ってきたばっかりだし、
    歩いてきてちょっと疲れちゃったんじゃないかな。
    ね、私の部屋に行こう。今日はエアコン使えるから・・・・・・・、
 真玄:・・・僕、紅蘭の部屋で遊ぶ。
たまき:え・・・・・・。
    ・・・・・・あっ、
    だめだよ。紅蘭の部屋には、お客さんが来ているの。
 真玄:そうなの?お姉ちゃん。
えりか:えりか達は先輩に会いに来たんだよ。
    紅蘭はいいの。
たまき:と、とにかくさ、私の部屋においでよ。
    アイスもあるし・・・・・・、
 真玄:・・・・・・・・・・・・お姉ちゃん、お姉ちゃん。
えりか:なあに?
 真玄:・・・・・・耳、かして。
えりか:内緒話?んもう・・・・・。
 真玄:・・・・・・(ごしょごしょ)・・・・・・。
えりか:・・・・・・ホントに?
 真玄:・・・うん。嘘じゃないよ。

たまき:真玄君、どうかしたの?
えりか:先輩、ごめんなさ〜い。
    真玄君、なんか具合が悪いって・・・・・・。
    さっきまで、何でもなかったのにぃ。
たまき:真玄君・・・・・・
    なんだったら、少しうちで休んでいったら?
 真玄:ううん。いい。
    お姉ちゃん、帰ろう。
たまき:・・・・・・・・・・・・。
えりか:どうしちゃったんだろう、真玄君。
    今晩、電話しますね。じゃあ先輩、さようなら。
たまき:うん、わかったよ。
    ・・・じゃあね。
    ま、真玄君も、バイ・・・バイ・・・。
 真玄:・・・うん。

たまき:・・・・・・・・・・・。
   (
私、真玄君に嫌われてる・・・?
     でも、どうして・・・・・
・)
 真玄:・・・あの、・・・たま姉ちゃん。
たまき:なっ、なあに?

 真玄:病院で・・・お姉ちゃんから聞いたの。
    ・・・・・・たま姉ちゃん、眠っている僕とキスしたって、本当なの?
えりか:だっ、あっ、あれは冗談だってばっ!
 真玄:ねえ、本当なの!?
たまき:(そうか・・・、それを怒ってるのか・・・・・・
    ・・・・・・あのね、真玄君。
    あれはキスじゃないよ。
    人工呼吸って言って、キスと似ているけど違うことなの。
 真玄:・・・・・・キスじゃないの?
たまき:うん。
    あの時は、その、ああしないと真玄君が助からなかったから・・・。
    でも、ごめんね・・・・・・。
 真玄:・・・・・・違うよ、そうじゃなくて・・・
たまき:え?・・・違うって?
 真玄:ん〜と・・・、たま姉ちゃん、バイバイ。
たまき:・・・バイバイ。
 真玄:お姉ちゃん、行こう。
えりか:ああ、はいはい。
たまき:・・・・・・・・・・・・・・・。

          ・
          ・
          ・
たまき:・・・・・・はぁ〜〜。
    真玄君くらいの歳の子でも、キスとか気にするんだなぁ。
    それで怒ってたんだ。
    私なんかにキスされたと思って。
    ・・・感謝されるのを期待して心臓マッサージをしたわけじゃないけど、
    それで嫌われるなんて・・・。
    そんなのツライよ。

キサラ:ジュースとスイカもらってくよ。
    ・・・あれ?今、誰か来てなかった?
たまき:キサラさん・・・。
    お客さんは、もう帰っちゃいました。

たまきちゃん憔悴

キサラ:なんだよ、その顔。さっきまでの元気は?
    急性夏バテ?
たまき:いえ、そういうわけでは・・・。
    なんでもないです。
キサラ:・・・なんでもないって、そういうふうには見えないよ。
たまき:いえ・・・。
キサラ:・・・・・・たまきちゃん、
    何かあったの?元気ないじゃない。
    なんなら、相談に乗るよ。
たまき:キサラさん・・・。
キサラ:いいから話してごらん。
    話すだけでも、楽になるもんだからさ。

たまき:あの。
    ・・・・・・誰かのために良かれと思ってやったことなのに、
    その人から感謝されるどころか、逆に嫌われたりしたこと、
    ・・・キサラさんはありますか?
キサラ:なんだよそれ。
    まあ、世の中いろんな奴がいるからねぇ。
    でも、それって「良かれと思ってやった事」にもよるんじゃないの?
    具体的に言ってごらん。
たまき:そうですね。
    実は先々週・・・・・・・・・

          ・
          ・
キサラ:海で溺れた子ね〜。
    ホンランからの又聞きだけど、話は聞いたよ。
    その子が来てたんだ。
    あのときは頑張ったらしいね。
    たまきちゃんは偉いよ。
たまき:そう言ってくれると嬉しいです。
    ・・・・・・でも、
    そのせいで、真玄君には嫌われちゃったみたいです。
キサラ:はぁ?・・・そんな。

たまき:私って、いつもそう。
    誰かのために何かしてあげると、いつも裏目に出ちゃうんです。
    恋人ができて、しばらく付き合っていると、
    その人の悪いところも、わかってくるじゃないですか。
    だから、直したほうがいいよって私が何度か言ってると、
    そのうちケンカになって・・・・・・。
キサラ:・・・・・・・・・・・・。
たまき:もしかしたら私って・・・、
    その人のためなんて言って、・・・・・・欠点ばかり見て、
    その人のいいところを見ない、イヤな女なのかも・・・・・・。
    だから、真玄君にも・・・・・き、きらわれ・・・。
キサラ:・・・ちょっと待ってよ。話が混ざってるよ。
    それとこれとはさぁ、話が別じゃない。
    たまきちゃん・・・・・・?
たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・うっ・・・ぐすっ。

キサラ:・・・・・・・・・・・・・・・・・・泣いてる、の?
たまき:す、・・・すいません・・・・・・ぐすっ。
    話しているうちに、なんだか悲しくなってきちゃって・・・・・・。
キサラ:ああ・・・・・・。もしかしてたまきちゃんって、
    こういうことをあんまり人に話さないの?
たまき:・・・・・・ぐすっ・・・・・・・・・はい。
    ごめん・・・なさい。
キサラ:いいよ。今度からあたしに言いな。
    歳が上の奴ってのは、そういう事のためにいるようなものだからさ。
たまき:・・・・・・・・・はい。
キサラ:完全な人間なんていないし、だからみんな欠点を持っているよね。
    でも、そういう欠点は誰かに指摘されたからってそれは直るもんじゃないよ。
    結局、本人がそれで痛い目にあって、初めて直す気になるものだから。
    そうやって経験を積んで、だんだん大人なっていくんだろうね。
    たまきちゃんは、その人が痛い目や辛い目にあう前に
    その欠点を直してあげられたら、
    って思ったんでしょ?
たまき:・・・・・・そうかも・・・・・・。

キサラ:でもねぇ、・・・それって無理なんだな。
    人に言われただけじゃあ、欠点って本当には直らないんだよ。
    自分で欠点を自覚して、納得して、直そうかなってやっと思いはじめる。
    人間て、そういう馬鹿なところがあるから。
    ・・・環境問題だって、ヤバくなるのはずっと前から解かってたのに、
    実際にヤバくなって、みんなが痛い目にあって、
    やっと何とかしようって、本格的に動きはじめているわけじゃない。

    馬鹿馬鹿しい話だよね。あたしらみんなそう。
たまき:ああ、・・・・・・そうかも。

キサラ:まあ、事前に指摘されていれば、その人が痛い目にあったときに、
    自分の欠点に気が付きやすくなると思うから、
    たまきちゃんの気持ちも、あながち無駄じゃないだろうけどね。
たまき:・・・・・・そうですね。
    そうだといいな。

キサラ:そうだってば。
    たまきちゃんの悪いところはね、
    「一つの見かただけが正しいと思い込んじゃう」ところ、
    「自分に自信を持ってない」ところ・・・、
    かな。
たまき:・・・はぁ。
キサラ:「心の中にいろいろ溜め込んじゃう」ところも欠点だけど、
    それについては、もう痛い目にあったから直せるよね。
たまき:うう〜、そうですね。
    ・・・わかりました。納得です。

キサラ:それで、思い込んじゃうことだけど・・・
たまき:・・・・・・あっ、あの人!
    このあいだ聞いた、キサラさんに告白しようとしていた人!
    私てっきり、キサラさんが告白するんだと思い込んじゃって・・・・・・
キサラ:ああ、ごめんね。
    あれはあたしの話し方が悪かったね。
    なんかこっぱずかしくって、ついついディティールをぼかしちゃった。
    あのことはいいよ。結果オーライで、いい友達になれたから。
たまき:そうですか。・・・良かった〜。
キサラ:まあ、たとえ2度と会わない仲になったって、
    その結果には、たまきちゃんには関係ないよ。
    最後に、どうするかを選んだのはあたしだし、
    2度と会わないって決めたなら、それはあたし達が決めたことだから。
たまき:そうですね。
    でも、あの晩は気になって、なかなか寝られなくて。
キサラ:ありがと。
    でもね、あたしが「思い込み」のことを行ったのはその事じゃなくて、
    男の子、・・・真玄君だっけ?
    その子のことなんだけど。
たまき:ああ・・・、あの子、
    どうしたら許してくれるんでしょう。

    やっぱり、しばらく会わないほうが・・・いいのかなぁ。


キサラ:・・・・・・たまきちゃんて、
    好きな人の前で、どうしていいかわからなくなって、
    言いたいことがなかなか言えなくて、どんどん混乱して、
    そこから逃げ出したくなったことってない?
たまき:そりゃ、・・・ないこともないですけど〜。えへへ。
    え?・・・・・・どういうことですか?
    話が飛んで、よくわかんなく・・・・?
キサラ:命を助けてもらって、その恩人を嫌うなんてこと、ないと思うよ。
    ましてや、たまきちゃんはその子に懐かれてたんでしょう?
たまき:はい。
    だから、真玄君に嫌われちゃって、凄いショックで・・・・・・。

コンフェ

キサラ:う〜ん、そぉかなぁ・・・。じゃあ物は試し。
    さっき言った、君の欠点を自覚してもらおうかな。
    ちょっと「思い込み」をやめて「自信を持って」みましょう。
    まあ、こういうのは加減が大事だけどね。
たまき:・・・はぁ。
キサラ:真玄君は「嫌いだから」そういう態度を取ってたんじゃなくて・・・、
    たまきちゃんを「好きだから」、どうしていいかわからなくなってたんじゃない?
たまき:真玄君が・・・私を好き?
    そんな・・・、
    
まさか〜。真玄君はまだ小学2年生ですよ。
キサラ:関係ないって。キスしたの?って聞かれたときだって、
    「人工呼吸だ」なんて言わずに「キスだった」って言ってあげたら、
    真玄君は喜んだかもよ。
たまき:やめてくださいよ〜。
    そんなの嘘ですって。・・・
あっ、そうか
    キサラさん、わたしのことを元気付けようとしてくれてるんでしょう?
    ・・・その気持ちはありがたいですけど、シャレになんないですよ。
    それに、あれは本当に人工呼吸なんですから・・・。
キサラ:好きな人にしてもらったんなら、
    されたほうにとっては、キスも人工呼吸も一緒一緒。
たまき:そんなぁ〜。
    なに言ってんですか、もう。
    でも、・・・・・・ありがとうございました。
    お話したら、気持ちがちょっと楽になりました。
キサラ:あたしは本気で言ってるんだけど・・・。
    そこから先、どうするかはたまきちゃん次第だから、
    まあ、せいぜい悩むことですな。
    じゃ、あたしはまだ仕事があるから戻るね。
たまき:・・・・・・はぁ、
    はい。

チャイム:ピンポーン
 たまき:またお客さんだ。
     今日はスゴイな〜。
     いま行きまーす。

たまき:はい、どなたでしょ・・・。
 モモ:(シュタッ)

モモぬい〜!(本物)

たまき:なに?・・・君。ピンクのクマ?
    お手紙?私宛て?
 モモ:(コクコク)
たまき:なになに、・・・Eメール?
    そうか、電子メールって、本当はこうやって届くんだ〜。
    知らなかったなぁ。
    ・・・ええと、これは、
   「今日はごめんなさい
    しんぞうがどきどきしてなんにもいえませんでした
    ぼくのこときらいにならないでね
    ばいばい。
                        こみなと まくろ」

    ・・・・・・うわ〜、どーしよ。
    ホント?
 モモ:(ふにふにと遊んでます。)
たまき:困ったなぁ・・・。
    ああ、ごくろうさま。
    届けてくれてありがとうね。
 モモ:(・・・・・・・・・・・・)
たまき:え? 頭なでろって?
    はいはい。
    
(キュピキュピッ)
    ・・・なんか、いい音するね。
    
(キュプキュピッ)
 モモ:(何かひらめきました。)
     カリカリ・・・・・・
たまき:なに書いてるの?
    ・・・
「ひみつ日記
    今日たまきのところへいった。
    ろんはいなかった。
    軽くなでられた。
    すっっっごい勢いだった。」

    へえ、君、日記書くんだ〜。
 モモ:ウッ!!
たまき:きゃっ!
    ・・・読んじゃだめなの?ひみつだから?
    ごっ、ごめんなさい。
 モモ:ガルルルゥゥゥ・・・・・
    フンッ
    
(キィ、・・・バタン)
たまき:・・・・・・帰っちゃった。
    あ〜、怖かった〜。(笑)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

・・・それにしても、真玄君。
ほんとに、キサラさんの言う通りなのかなぁ。
少なくとも嫌われてはいないようなので、安心しましたけど。

これから、どうしよう。
今まで通り、普通に接するしかないかな。
それとも、もっと仲良くしようかな。

ううううう〜〜〜〜。
・・・おやすみなさい。


   
 



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