7月24日(月)

 店員:ありがとうございました。
 紅蘭:どうも〜。
    ねえさんも、ほなな〜。
めびな:バイバイ。
 紅蘭:たまき、そっち持って。
たまき:うん。
 紅蘭:ほないくで、せーのっ・・・
たまき:えいっ!
    ・・・・・・これくらいならそれほど重くないね。
 紅蘭:せやな。
    ここからやと、家まで30分くらいかかるか?
たまき:頑張ろうね。

 店員:お待たせしました。
    こちらでよろしいですか?
めびな:はい。
 店員:あれ・・・お客さん、このあいだキーボードをご注文されましたよね?
めびな:これはこれ、あれはあれ。
    注文しておいてね。
    これは純正のが来るまでのツナギだから。
 店員:ああ、お待たせしてすみません。
    大至急と伝えておきますので。ハイ。
めびな:これがあれば遅くても別に困らないけど・・・、
    でも早いほうがいいかな。使い慣れたのがいいし。
 店員:かしこまりました。
    じゃあこのキーボード、ちょっと値引きさせていただきますね。
    
(ピピピピ)税込みでこちらになります。
めびな:いいの?
    ありがと〜。


めびな:やっとキーボードが買えたよ。
    しかもお安く!
    これで更新できるね。
    ・・・・・・それにしても、あの電器屋さんで会ったおかっぱのコ、
    あたしのこと覚えてなかったみたいだなぁ。
    まー、雨の中で転んだことなんか忘れてもらってたほうがいいけどさ。

 リコ:あの、すみません。
めびな:・・・はい?
    (何でこんな住宅街で・・・この女の人、道にでも迷っているのかな)

リコ@ペット探偵

 リコ:あたしこのチラシの猫を探してるんですけど、この辺で見ません?
めびな:猫?
    家出しちゃったの?
 リコ:ええ、そうなの。
めびな:あら〜、心配でしょうね。
    あたしは猫を飼ったことないけど、わかるなぁ。
    どれどれ、見せて。
 リコ:いや、別にあたしが飼ってたわけじゃなくって。
    あたし、ペットを探す仕事をしているんですよ。
めびな:ああ、ペット探偵っていうの?
 リコ:副業なんだけどね。
    基本的には便利屋。
めびな:なんだ、飼い主さんじゃないのか〜。
    心配して損した。
 リコ:これでも親身になって探してんのよ。
    あなたは?
めびな:私?
    いえ、ただの学生だけど。
    ・・・ところで、このネコなら見たことあるかも。
 リコ:ほんとに?
    どこでいつ頃見たの?
めびな:・・・・・・1ヶ月くらい前だけど。
    むこうの、神社のあるあたりで寝てた。
 リコ:じゃあ家出前のことか。それきり?
    そうか。
    どうもありがとう。
    もし見かけたらここに連絡してちょうだい。
めびな:わかった。
 リコ:(ブゥゥゥゥゥゥ・・・・・ン)
    あ、お姉ちゃんからだ。
    もしもし、ジョーンズ、起きたの?
    うん。
    うん。
    なにか目印になるもの見えた?
    車の下にいるの?
    色は?車の色・・・・・・。
    ああ、そうか。猫は色ってあんまりわからないんだっけ。
    地面は?
    ・・・舗装してあったのね。
    まわりに生け垣に、自転車が数台・・・と。
    オッケー。
    それで探してみる。
(ピッ)
めびな:なにかわかったの?
 リコ:うん。
    この猫が、舗装された場所に駐車してある車の下で寝てるって事。
    近くに生け垣があって、自転車が何台か停めてあるって。
    あ、ジョーンズってのがこの猫の名前ね。
めびな:その車はどこに停めてあるの?
 リコ:それをこれから探すんじゃない。
めびな:・・・・・・どういう事?
    猫が車の下にいるかわかってて、その車がどこかわからないって。
    匿名の情報でもあったの?

 リコ:そのへんは企業ヒミツですから。
    じゃあね。
めびな:ちょっと待ってよ。
 リコ:ん?
めびな:・・・あたしも一緒に探したいんだけど。
 リコ:興味本位でついてこられてもなぁ。
    こっちは仕事なんだけど。
めびな:あたし、この辺の猫は大抵知ってるんだよ。
    もちろん、地理にも詳しいし。
    手伝いこそすれ、仕事の邪魔はしないから。
    いいでしょう?
 リコ:タダ働きだよ?
めびな:当たり前じゃない。
 リコ:じゃあ勝手にしたら。
    言っておくけど、ウチのやりかたは他と違ってるから、
    何の参考にもなんないよ。
めびな:そこに興味があるんだなぁ。
 リコ:やれやれ。

ジョーンジー?

めびな:猫は夜行性で昼間はどこかで寝ているから、
    今って探すのには効率悪いんじゃないかな。
    夕方か早朝がいいとおもうよ。
    あとは、いつもご飯をあげてた時間とか。
    その時間になると、餌を捜して歩き回るから。
 リコ:そんなことくらい知ってるよ。
めびな:じゃあなんでこんな真っ昼間から猫を探してるの。
 リコ:あたりが明るいほうが見つけやすいから。
めびな:だから、それだと猫のいそうな所を
    片っ端から探さなくちゃいけなくなるじゃない。
 リコ:片っ端からじゃないって。
    舗装された道路に停めてある車の下。
    そういうところだけ探せばいいんだよ。
めびな:だから、なんなのそれ〜。
    ・・・企業ヒミツ?
 リコ:そういうこと。
    まあ、理由を言っても信じないだろうし。
    ・・・・・・ところであんた名前は?
めびな:女雛。
    高嶋女雛。
 リコ:和風なのに、妙にケバい名前だね。
めびな:ほっといてよ。失礼な。
 リコ:あたしは出雲崎リコ。
    リコさんでいいよ。
    で、女雛ちゃん、さっき手伝うって言ったよね。
めびな:うん。
    ・・・ああ、あの車を調べろってのね。
 リコ:あたしはあっちを見るから。
    それでね、ジョーンズがいても、絶対に自分で捕まえようなんて思わないでね。
    ただあたしに教えてくれるだけでいいから。
    つかまえるときは飼い主さんに来てもらって、
    時間をかけて猫のほうから来るように仕向けるの。
めびな:そうなの?
 リコ:家出した猫って、外でどんな目に合っていたかわからないじゃない。
    恐ろしい目にあった猫は、おびえきっていて、
    飼い主からも逃げることがあるの。
    そういう猫を力ずくで捕まえると、猫の心にキズが残るんだな。
    とにかく優しく、ソフトに対処しないといけないのよ。
めびな:わかった。
    それっぽい猫がいたら、すぐに教えるから。
 リコ:よろしくね。


 リコ:ジョーンジー・・・ジョーンジー・・・
めびな:いないね〜〜。
    もう何台も見たけど、車の下になんか、
    この子どころか猫いっぴきいないよ。
 リコ:うん、車の下っていないもんだねぇ。
めびな:雨の日なんかはよく見かけるけど。
    こういう暑い日は、車の下ってあんまり快適じゃないのかな。
    やっぱり、他のところも探したほうが良くない?
    足元ばかり探していて、ヘイの上の猫を見逃すことだってあるよ。
 リコ:その必要はないよ。間違いないって。
    この猫は車の下にいるの。

    あたしあそこにいる子供にちょっと聞いてくるから、
    ここで待ってて。
めびな:子供に?
 リコ:大抵の大人って、ノラ猫なんかには興味を示さないんだな。
    道端で見かけてても覚えてないから、チラシを見せてもあんまり効果ないの。
    そのてん、子供は動物をよく見ているから、いい情報が得られることがあるんだ。
    大人よりも視点が低いから、物陰で寝ている猫が目につきやすいし。
めびな:・・・じゃあ、何であたしに声を掛けたの?
 リコ:だって、物陰やらヘイの上やら、
    猫がいそうなところをキョロキョロしながら歩いているんだもん。
    同業者でないにしても、あたしと同じように猫を探しているんだと思ったから。
めびな:・・・・・・うそ、あたしそんな歩き方してたの?
    そうか、
    たしかにそのへんに猫がいないかな〜って探しながら歩く癖があるかも。
 リコ:・・・自覚なかったんだね。
    じゃ、ちょっと子供に聞いてくるね。
めびな:うん。
 リコ:みんなぁ、ちょっといいかなぁ〜。

めびな:・・・ふぅう〜〜、
    それにしても、今日はめちゃくちゃ暑いなぁ〜。
    
 リコ:・・・手がかりナシだった。
めびな:改めて思うけど、これって大変な仕事だね。
    こんだけ捜し歩いてどのくらいのお金になるの?
 リコ:3日間かかりきりで探して5万円。(生死を問わず)
    それで見つからなかった場合はそこから3万円返すの。
    つまり2万円の売り上げね。
めびな:3日間で5万円もとるの?
    それって結構おいしいんじゃない?
 リコ:ペット探偵の相場はもうちょっと高いよ。
    3日で7〜11万円くらい。
    もっと高いところもあるらしいし。
    しかも見つかっても見つからなくても、それだけ払わないといけないの。
めびな:へぇ〜〜。
 リコ:何千枚もチラシを配って、あちこちの家を回って情報を集めて、
    ポスターを貼って、プロのノウハウを使ってペットを探すんだから、
    まあそれくらいになるのかな。
    業者間で相場を作っちゃって価格競争が無いのはどうかと思うけどね。
    中には、依頼を受けてもなにもしないで、料金だけ請求する悪徳業者もいるらしいし、
    1ヶ月間もむだに探して何十万も請求するところもあったって。
めびな:そのあたり、リコさんのところは良心的だね。
 リコ:もっとも、ウチはポスターは貼らないし、チラシもせいぜい100枚くらい。
    捜査員もあたし一人だから低コストで済んでるんだ。
    それでいて、発見率はお姉ちゃんのおかげで90%越えてるんだよ。
    ・・・でも今回はうまくいかないなぁ。
    早いときは1時間くらいで見つかるのに。
めびな:そのお姉ちゃんって、どこにいるの?
 リコ:ジョーンズの飼い主の家。
    依頼人と一緒に、涼しいお部屋でテレビ見ながらジュース飲んでる。
めびな:ええ〜!?
    なんでリコさんだけこんな暑いなかを・・・
 リコ:そういう役割分担だからしょうがないよ。
    あたしにはお姉ちゃんの真似はできないしさ。
    (ブゥゥゥ・・・・ン・・・ブゥゥゥ・・・・ン)
    お、噂をすれば・・・。
    ・・・もしもし、
    うん。今度は?
    ・・・
ああっ、そっかー!
    わかった。地図で見てみる。
    ・・・うん。じゃあね〜。
(ピッ)
めびな:お姉さん?
    なんだって?
 リコ:舗装してあるところに停まっている車っていうから
    てっきり路上駐車している車だと思って、住宅街の広めの道を探してたんだけど、
    今の情報によると、ジョーンズがいるのは駐車場らしいのよ。
    たくさんの車が停まってるのが見えたって。
めびな:・・・見えた?
 リコ:このあたりで駐車場っていうと〜〜、・・・う〜ん、いくつかあるね。
めびな:さっき、そこは生け垣があって自転車があるところって言ってたよね。
    あたし、そういう駐車場に心当たりあるな。
 リコ:ホント!?
    この地図でいうと、どこ?
めびな:その前にさ〜、
    さっきから気になっているんだけど、
    その企業ヒミツとやらを教えてくれない?
 リコ:言っても信じないって。
めびな:そういう言い方されると、ますます気になるんだってば!
 リコ:・・・まー、教えてもいいけど。
    そのかわり心当たりのある駐車場、ちゃんと教えてよ。

あたしのねぇちゃんは凄いんだぞ(笑)

めびな:千里眼?
 リコ:そう。
    あたしのお姉ちゃんがそういう能力を持ってるの。
    で、お姉ちゃんは依頼人の家で依頼人をとおして迷子の猫の視覚に侵入して、
    そこから得られた情報をもとに、あたしがその猫を探すの。
    ちなみに、猫が寝ているときはお姉ちゃんには何も見えないんだ。
めびな:・・・・・・ふぅん。
    ちょっと信じられないけど、
    でも、リコさんは完璧に信じてるんだね。
    いままでのリコさんのやりかたを見ていると、そうとしか思えない。
 リコ:姉ちゃんが見たものは必ず真実だよ。
    あたしたちがこうやって目で見ているのと同じにね。
    ・・・ただ、それをどう解釈するかを間違うときはあるけど。
    このあいだもそれで、ある人に迷惑掛けちゃって・・・・・・。
めびな:それで、ジョーンズが駐車場の車の下にいることがわかったのか〜。
 リコ:・・・・・・信じるの?
めびな:お姉さんを信じているリコさんをね。
 リコ:・・・ん・・・んんっ。
    んで、その駐車場って、この地図のどこ?
めびな:3丁目の・・・ここ。
    奥まった所だから静かだし、猫のお昼寝にはもってこいかもね。
 リコ:ありがとう。
    ここから500mくらいだね。
    行ってみよう。
めびな:うん。


 リコ:ここだね。
    生け垣に自転車・・・それに静かな所だし。
    バッチリじゃん。
    ジョーンズいるかな。
めびな:名前を呼びながら行く?
 リコ:いや、静かに行こう。
    お姉ちゃんから連絡がないってことは、
    ジョーンズはいま寝てるってことなの。
    せっかく寝てるんなら起こさないようにしたいからさ。
めびな:・・・探しにくいはずの昼に猫を探すのは、
    お姉さんが視覚の情報を得やすいからと、
    猫が起きて動き回ってないほうが、その視覚の情報をもとに探しやすいからなのね。
 リコ:そのとおり。
    女雛ちゃん、アタマいいじゃん。
めびな:ヒナでいいよ、リコさん。
    いまさらだけど。
 リコ:じゃ、ヒナ。
    あなたはあっちから探していって。
めびな:りょうか〜い。

めびな:ひゃっ!
 リコ:どうした?
めびな:ごめん、びっくりして。
    轢かれて死んでるのかと思った〜。

しゃこたんかー

 リコ:おお〜、シャコタンじゃん。
    ホント、車高が低いから車の下敷きになってるみたいね。
    グレーのトラだけど、足が白いからジョーンズじゃないか。
    他を探そう。
めびな:待って待って、この車の下、もう一匹いる。
 リコ:どれどれ?
    ・・・あ、ジョーンズ!?
めびな:ほんとに?
    あ、起きちゃった・・・。

発見!!!!

 リコ:(ブゥゥゥ・・・・ン・・・ブゥゥゥ・・・・ン)
    さっそく掛かってきたな。
    ってことは、この猫がジョーンズで間違いないわけね。
    隅のほうに行こう。
    ジョーンズがうるさがってどこかに行ったら困るから。

    ・・・もしもし?
    そう、みつけたよ〜。あたしたち見えた?
    ここはねぇ、3丁目の駐車場。
    早く飼い主さんを連れてきて。
    そこからすぐ近くだから。
    え?一緒にいるコはだれかって?
めびな:・・・・・・!?
 リコ:この駐車場を見つけるのに力を貸してくれた子なんだ。
    ・・・うん、そのつもり。
    早く来てね。
    じゃ。
(ピッ)
めびな:・・・おねえさん、
    ジョーンズの目を通してあたしを見たの?
 リコ:うん。
    あたしと一緒に覗き込んでいるヒナちゃんが気になったみたい。
    なに?千里眼のすごさを実感した?
めびな:っていうより、今の電話の会話を聞いてたら、
    リコさん、なんかあのジョーンズと会話しているみたいで、(笑)
    ちょっとドキドキしちゃった。
 リコ:・・・・・ああ。
    変ってるね、ヒナって。
めびな:そうかなぁ。
 リコ:ところで気がついた?
    猫が寝てるのってこの車の下だけで、他の車の下にはいないって事。
めびな:そういえばそうね。
    この10センチくらいの車高がネコゴコロそそるのかも。
    他にはこんな隙間、ちょっと思いつかないし。
 リコ:そだね。
    メモしとこ。
    猫はシャコタンが好き・・・かも・・・と。
めびな:でも、
    ジョーンズ、見つかって良かった。
 リコ:見たところ怪我もしてないみたいだし、
    目におびえも見えない。
    無事発見の最高のケース♪
    ヒナのおかげだよ。本当にありがとう。
めびな:迷子の猫が見つかればいいの。
    あっと、・・・そろそろ帰らなきゃ。
 リコ:え?帰っちゃうの?
    飼い主との対面、見ていかない?
めびな:いいよ。
    そんなの見たら猫飼いたくなっちゃうしね・・・。
 リコ:あのさ、
    ・・・さっき電話でお姉ちゃんも言ってたんだけど、
    やっぱりヒナにちゃんとお礼しないといけないよ。
    だからお姉ちゃんが来るまで待ってて。
    あたし今、持ち合わせないから。
めびな:・・・タダ働きでいいって言ったじゃない。
    あたしはそのつもりだったし、お礼なんていらないよ。
    じゃあね。
 リコ:待ってよヒナ〜。
    ああ〜でもジョーンジーから目を離せないし〜〜・・・。
めびな:今日はたのしかったよ、リコさん。
    元気でね。
 リコ:・・・・・・う、うん。わかったよ。
    ヒナもね。バイバイ。
めびな:バイバイ、また会えたらね。
    ・・・さー、帰って更新しなきゃ〜。


 
     
 
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