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12月1日(土)
めびな:で、今日はあたし、何するんですか。
ニコ:リコちゃんが配る猫探しのチラシを作って欲しいんろも。
めびな:猫探しの仕事、はいったんですか?
ニコ:うん。
それでリコちゃん、今日は依頼人のところに行って打ち合わせしてるがぁよ。
めびな:わかりました。
・・・でも、チラシってどういうふうに作ればいいんです?
ニコ:これがいままで作ったチラシの原稿。これを参考にして。
めびな:はい。
ニコ:まずこういうふうに、一番上に「ペット探しています」と書いて、
その下に猫の写真を張って、さらにその下に
猫の特徴や名前、
それと忘れちゃイケナイ、ウチの社名と電話番号らな。
文章はパソコンでプリントアウトして、台紙に貼るが。
で、原稿ができたら、それをコピー機でコピーして、仕事お終い。
簡単らろ?
めびな:わかりましたけど・・・でも、
最近の、他の会社のチラシやポスターって、
あんまりこういうのないですよ。
ニコ:へぇ、そおいが?
オレ、ひとんちのはあんまりじっくり見た事ねぇろも。
めびな:写真をできるだけ大きく載せて、写真のあいているところに文章を入れ込んだり、
レイアウトも工夫してあったり。
こういう、”いかにも”的なものじゃないですね、最近のは。
ニコ:はあ〜〜。
ヒナちゃん、よく見てるんだねぇ。
めびな:へへへ〜。
こういう仕事、昔から興味ありましたからね。
ニコ:・・・じゃあ、まかせるわ。
必要なことが書いてあって、見やすければそれでいいんだし、
レイアウトに凝ったって、かかるコストはかわらないしね。
カラーコピーを使うとなると話は別らけど。
できたらオレに見せて。
もし12時になったら、勝手にお昼休みにはいっていいスケ。
めびな:ハイ。
めびな:・・・こういうレイアウト作業って、パソコン上でやったほうが
キレイに仕上がるんじゃないかなぁ。
それとも多少は手作り感があったほうが、見た人の共感を生むのかしら。
まあ、とりあえず今日は写真の切り張りで作ろうっと。
まずは切る用に、元の写真をコピーして・・・うわぁ〜♪
首のかしげ具合がたまんないなぁ〜。
「・・・にゃ?」って感じ?
めびな:う〜〜ん、名前は何にしようかなぁ・・・・・
じゃなくって、この子はお客さんの猫だった。
名前はモンプチ君か。はやく見つかるといいなぁ。
じゃコピー、と。(ガコーーーーッ)
それから文章のほうはパソコンに打ち込んで、
プリンターで出して、それを切って貼り付ければいいんだよね。
(チャチャチャ・・・・)
名前はモンプチです・・・可愛いオス猫です・・・色はちゃトラで・・・
めびな:ん〜〜、こんな感じかなぁ。
自分で思ってたよりも地味になっちゃったかなぁ。
めびな:なんか右側があいちゃって、変だよねぇ。
ほかに書くことないかなぁ。
・・・ニコさんに見せてこよう。
ニコさ〜〜ん。
ニコ:うん・・・うん・・・わかった。
じゃあ明日は朝イチでそこの家に行けばいいがぁね。
もう帰ってくる?
うん。はいは〜い。
じゃあね。(ピッ)
リコちゃん、打ち合わせ終わったから帰って来るって。
めびな:ふぅん。
あの、さっきのチラシできました。
ニコ:もう出来たが?
ヒナちゃん仕事早いね。
どれどれ・・・?
めびな:どうでしょうか。
あたし的には右側があいてて変なんで、
もうちょっと情報を書き込みたいんですけども、なんかないですかね。
リコさんが帰ってきたら、詳しいことが聞けるかな。
ニコ:でもね〜、
・・・・・・例えば「シッポがちょっと曲ってます」なんて書くろ?
すると、チラシを見た人がこのモンプチをズバリ見つけたとしても、
たまたまそのときシッポがまっすぐに見えたりすると、
その人は違う猫だと思ってウチに電話をくれないんだて。
あんまり詳しく書くと、かえって良くないがぁよ。
めびな:・・・ああ、そうですねぇ。
基本的な特徴だけ書いておいて、あとは適当にぼかしておくんですね。
・・・じゃあ、これだと首輪の色のことは消しといたほうがいいです?
ニコ:それを消したら、今度は茶トラの猫全部と、モンプチが区別つかなくなるねっか。
その情報はとっても重要らよ。
明るい緑色なんて、珍しい首輪の色らっけね。
ちなみに、黒猫はなぜかみんな赤い首輪を付けられちゃうから、
他の家の黒猫と区別がつかなくて、行方不明になったときに探すのが大変なんらよ。
めびな:黒猫に赤い首輪かぁ。
可愛いけど、たしかにありがちすぎますよね〜。
珍しい首輪ってただのカッコつけかと思ってたけど、
いざというときに実用的なものなんですね。
ニコ:・・・あと、いつ頃いなくなった、とかも書かないほうがいいね。
似た猫を見つけても、いなくなったのが例えば3ヶ月も前だとわかると、
とっくに見つかっているか、違う猫かもしれないと思うのが人情らっけね。
だいたい、絶対に間違いないくらい特徴と一致した猫を見かけても、
わざわざ電話くれるなんて面倒な事をする人は少ないんだし。
めびな:そうか。
ひとごとだと思って、みんな冷たいですよねぇ・・・。
ニコ:誰もが同じ事を大切だと思っているわけじゃないからね。
だれしも誰かには親切で、ほかの誰かには冷たいもんだっけ。
ひとつ言えるのは、男は誰もがみんなスケベらって事くらいらな。(笑)
めびな:ははは。
あたしのトモダチにもショーン・コネリーだけが完璧で、
あとの男はみんないやらしくて汚いって思っている子いますよ〜。
ニコ:へぇ〜。なんかオレと話が合いそうらね。
めびな:んで、「やおい」っていうんですか?
男の子同士の恋愛マンガにはまってるんだそうです。
空想の世界で、女の子に興味がないキレイな男の人達ならいいんだそうで。
ニコ:ほお〜〜〜、
・・・・・・・・・なるほどねぇ。
めびな:なるほど?
ニコ:いやあっ、何でもないがぁて。
それよりこれろ。
写真に貼り付けてある文を左右均等になるようにレイアウトし直して、
それでいいんじゃねぇろっか。
めびな:わかりました。
ニコ:ヒナちゃん、あの、
・・・・・・さっきの、「やおい」っていうの?
めびな:そうですよ?
えっと、興味あります?
ニコ:いや、べつに。
・・・・・・ふ、ふぅん。
あ、じゃあチラシ仕上げちゃって。
レイアウト終わったら、100枚くらいコピー取っちゃって。
めびな:は〜い。
めびな:・・・左右均等にレイアウト、と。
こんな感じかな。
よし、コピーしよっと。
(ガコ−−−−、ガコーーー・・・)
リコ:ただいま〜〜。
めびな:あ、リコさんおかえりなさい。
ニコ:おかえり。
打ち合わせ、どうだった?
リコ:問題なし。
お姉ちゃんは明日の朝、予定通りにお客さんのところに行って。
ニコ:お客さん、男じゃないろうね。
女の人らったろうね。
リコ:ハイハイ。
間違いなく、女性のお客さんだったよ。
捜索開始は明日からって事になっているけど、
あたしは今日の午後からでも付近を捜してみる。
めびな:モンプチのチラシ、できてますよ。
リコ:今の件の?
もうチラシできてるんだ。
じゃあそれ持って行こう。
めびな:ハイ、これです。
リコ:え〜と、・・・・・・ええ?
あたしゃ、明るい緑色のオス猫なんか探したくないぞ。
めびな:え?緑色のオス猫?
めびな:・・・・・・ちっ、違うよ。
こう、横に、横に読んでほしいんだけど。
リコ:あ?・・・ああ、はいはい。
首輪が明るい緑色ね。
ニコ:あにゃにゃにゃにゃ〜。
リコ:短冊の左端はきれいに揃えて、左と右では文章を分けたほうがいいかな。
その方が読み間違いがなくていいだろう。
悪いけど作り直しだね。
めびな:はあ〜い。
リコ:でもまあ、こうやって写真に文章を重ねると、
今までのよりも大きく写真が載せられて、見やすくていいね。
今度からこういう感じでいこうか。
ね、お姉ちゃん。
ニコ:そうらね。
リコ:さてと、その作業は午後からにして、
ちょっと早いけどお昼にしようよ。
出前取ってさ。
あたし朝から働いておなかすいちゃった。
ヒナちゃんもこのメニューの中から好きなの選びな。
ここ、持ってくるの早いんだよ。
めびな:え、もうお昼ですか?
まだ11時じゃぁ・・・・・・
リコ:いいじゃん、いいじゃん。
固いこと言いっこなしよ。
和食洋食、何でもあるよ。
ん〜〜、あたしはとんこつラーメンにしようかな。
ニコ:オレはねぇ、アジフライ定食。
めびな:(いいな〜、この職場・・・)
リコ:ヒナちゃんは?
めびな:えっと、・・・・・・じゃあエビピラフにします。
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