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 ニコ:痛いっけ、離せてぇーっ!
 ヒナ:あ、
    ・・・う・・・うそ!?
    そんな・・・・・・
    どうして?ニコさんがなんでこんなところに?

 ニコ:ヒナちゃ〜ん。
    オレ捕まったがぁ〜・・・

千野井:フフフ。
     なにを驚いているの?
     高嶋女雛。





三津川:・・・その子供はどうしたんですか、千野井さん。
    高嶋の娘と知り合いのようですが。

千野井:散歩してたら、この子が警察に電話しかけているのを
    運良く見つけたのよ。
    すぐに捕まえて電話を取り上げたけど、ほんとにヤバかったわ。
    それと、入り口の脇のところに知らない車がとまってたわよ。

三津川:なんですって?
千野井:この子のほかにも高嶋女雛の仲間がここにきている。
    張山、鈴原。
    あんたたち、ここに来るときに後をつけられたわね。

 張山:そんな馬鹿な!
    何度も確認したっスよ、間違いなく!

千野井:つけられたのよ。
    げんに仲間がここに来てるでしょ?
    あんた頭悪いんじゃないの?

 張山:あんだとぉ?
三津川:やめろ、張山。
    ・・・しかし、まいったな。

千野井:ほら、さっさとあたりを調べに行きなさいよ。
    見つけたら捕まえてくるのよ。

三津川:張山、行ってこい。
    面倒なら殺してもかまわん。

 張山:はい。

三津川:あまりのんびりとしていられないようだな。
    鈴原さん、この娘どもを始末するのはあんたの仕事だ。
    さあ、このナイフを使うんだ。

 ニコ:ふぇぇぇぇ・・・
 ヒナ:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 鈴原:わ、わたしが?
    なぜかね。

三津川:なぜ、だ?
    俺たちは高嶋園長をやったが、
    あなたは自分の手を汚していない。
    あなたを信用するためには、我々と同じことをやってもらわないといけない。

 鈴原:で、でもどうやったら・・・・
三津川:耳の下あたりに頚動脈がある。
    そこを刺せば失血死する。簡単だよ。
    まあ、ようは殺せばいいんだ。
    よくわからないなら、めった刺しでもいい。

 鈴原:そそ、そんな、待ってくれ。
    わたしはただ山を手に入れるために協力するだけで
    大金が手に入るっていうからあなた達と一緒にいるだけで、
    ひ、人殺しなんて・・・・わたしには・・・

 ヒナ:鈴原さん・・・・
三津川:おい、なにを怖気づいているんだ。
 鈴原:・・・・・・・・・・・・いや、
    できんよ、やっぱり私には。
    頼む、かんべんしてくれ。

千野井:はっ、
    情けない男ね。

三津川:まあいい、じゃあそのナイフは返してもらおうか。
 鈴原:・・・すまん。
三津川:ついでにそこにある手袋を取ってくれ。
 鈴原:ああ、わかった。
    これだな。
    ・・・でもなぜ手袋なんか?

三津川:わからんかね?
    このナイフの柄にせっかくつけた
    あんたの指紋を消さないようするためだよ。

 鈴原:・・・・・・・・・・・・・・・・?
三津川:あんたの指紋は警察が、あんたの家からたっぷり採取しているはずだ。
    それと同じ指紋が、高嶋の娘の刺殺体のそばに落ちている凶器にも
    ついていたとしたらどうだ?。
    あんたとこの娘の間にトラブルがあったのは、警察も知っている。
    間違いなくあんたがこの娘を殺したと警察は判断するだろう。

 鈴原:そこまでして、わたしがこの子を殺したようにしたいのか。
    しかし、それでわたしを信用してくれるなら・・・・・


千野井:・・・馬鹿なやつね。
    ふふ、鈴原。
    この娘達と一緒にあんたも死ぬのよ。

 鈴原:なんだって?
三津川:聞こえただろ。
    どの道、この娘を殺させたらあんたも殺すつもりだったんだよ。
    まあ、順番はどっちでもいいんだ。
    娘達より先に、あんたを始末しようか。

 鈴原:な、・・・なぜ?
三津川:役に立たないくせに余計なことばかりしやがって。
    おかげで警察がそこらじゅう嗅ぎまわりやがって、
    せっかくの埋蔵金もおちおち掘り出せやしねえ。
    お前を抱き込んだのがそもそもの間違いだった。
    こちらはいらないリスクばかり抱え込む。
    生かしておいたら、さらに厄介な事になるのは見えているんだよ。

 鈴原:三津川・・・さん・・・や、やめ・・・・
三津川:娘をこのナイフで殺して凶器と死体はここに残す。
    警察は指紋からあんたを犯人と思って捜すだろう。
    だが警察は、いつまでも見つけることはできない。
    あんたはここで殺され、森の深いところに埋まっているからだ。
    だから我々にも、いつまでも捜査の手が及ばんということだ。
    俺たちにしてみれば、厄介払いができて分け前も増えるんだ。
    いいことずくめじゃないか。

千野井:よかったわね、最後に他人の役に立てて。
 鈴原:うわ、うわああああああああああああっ

 漆木:ふう〜〜ん。
    なるほどねぇ、あそこは宝の山だったわけか。
    なにもかもそれ目当てだったのね。

三津川:だっ、誰だ!



 漆木:ここで何もかも聞かせてもらったわよ。
 ヒナ:うるるん!?
 ニコ:う、うるるん?
 ヒナ: 来て・・・くれたんだ。
 漆木:ヒナ、大丈夫だった?
 ヒナ:うん。うん。

三津川:てめぇ、なにもんだ!
 漆木:はじめまして、・・・といいたいところだけど、
    三津川、あんたとは前に一度会ってるらしいわよね。
    夜の公園で。

三津川:・・・そうか、
    あのとき張山の邪魔しやがったあの女か?

 漆木:そうよ。
    それにしてもさっきから聞いていれば、あんたねぇ、
    殺人も強姦も犯罪なのよ?
    それをビジネス上のリスクとしてしか計算できないのって、
    社会病理的だと思わない?

三津川:犯罪だろうがなんだろうが、リスクはリスクだ。
    高いリスクを背負っても、高い報酬があればそれでいい。
    そうだろう?

 漆木:モラルがなさすぎるのは確信的なのね。

 鈴原:あんた、誰だか知らんが、
    た、助けてくれ、わたしはこいつらに殺される!

 漆木:鈴原さん、別にあなたを助けにきたわけじゃないわ。
    あたしは小物にかまってる暇ないから、
    さっさと山を降りて、地元の警察に自首しなさい。
    さあ、三津川、千野井、
    ヒナともう一人の子を縛っている縄を解きなさい。
    さもないと、かなり痛い目にあうわよ。

三津川:・・・おい鈴原、
    お前、あいつの後ろに回りこんで
    抱きついて身動き取れないようにしろ。
    うまくできたら命は助けてやる。
    分け前もちゃんとやるよ。

 鈴原:ほ、ほんとうかね。
三津川:ああ、約束する。
    その女を捕まえるだけで5億やろう。

 鈴原:よ・・・よし。
 漆木:あらあら、あんたまでやる気なの?
 鈴原:うう、うるさい!
 漆木:三津川に殺されそうなのを助けてあげたってのに。
    やっぱり、ほっとけばよかったわ。




千野井:張山を呼び戻せる?
三津川:いや、ここは携帯の電波が届かないところだから・・・
 漆木:言っておくけど、外にいた見張りの2人は
    もう捕縛してあるから、呼んでも来ないわよ。

千野井:・・・2人?
 漆木:あら、とぼけることないわ。
    男と女の2人組よ。

三津川:なに言ってるんだ。
    そんな奴等は仲間にいねぇぞ?

 漆木:いたわよ!
 ニコ:・・・あ、
    その2人って、まさかリコちゃんとミヤ・・・・・

 ヒナ:え、なに?

 漆木:ん〜〜、まいいわ。
    さ、どこからでもかかってきなさい。
    今日は3対1だから、さっさと片つけてくわよ。

三津川:なにしてる、鈴原。
    早く押さえ込め!

 鈴原:わ、わかった。
三津川:よし、いまだ!
 鈴原:うわぁ〜〜っ!




 
     
 
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