今年も行ってきました房総半島、たま坊撮影の旅。
撮影の結果はこちらに
去年もちょうどこの時期に行き、天候にも恵まれ、長い距離をやんやら歩いて疲れつつも、
とても楽しい撮影でしたが、ただちょっと残念だったのは時間が短かったこと。
始発電車で外房に出かけても、向こうに着くのは日もすっかり昇った9時くらい。
もうちょっと早く着ければ撮影時間もタップリになのに・・・・

というわけでわたくし考えましたヨ。
そしてあるステキなアイディアに思い至ったのです。
この季節の南房だし、野宿も寒くないでしょ〜。
どこか横になれる場所があれば少し眠れるし〜。
つまり、アイディアとはズバリ「前の晩から行けばいいじゃん!」でした。

のちに自ら「・・・あれはサル知恵だった」と悔恨の涙とともに語ることになるとは
そのときは夢にも思わなかったのです。


文章ばかりだと飽きるのでちょっと挟んでみます。

え〜、夜、寒かったです。そして眠れませんでした。駄目じゃん。
最初によさげと思った寝床は海沿いの休憩所みたいなところだったのですが、
しかし横になってウトウトし始めると突然バタン、バタン、と車のドアを閉める音。
いつのまにか近くに車が止まっていて、中から懐中電灯を持った男が2人が降りて、
そのへんをうろうろし始めます。
落ち着かないのでそこは辞去してしばらく歩くと公園が。
大きな通りから離れているのでここなら人も来るまいとベンチで横になると、
今度は雨が降ってきました。明日は晴れだと聞いていたのでなんの用意もありません。
雨をしのぐ場所もないのでそこも辞去。
またしばらく行くと公共施設があったので、そこの軒下を借りて寝ることにしました。
しかしウトウトし始めると、耳元でなにやらカサカサする音がします。
何かなと思って襟元を探ろうとしたら、肩から腕にむかって
艶やかで大きなムカデが旅行中なのが見えました。ぎゃあ花壇のわきにはこういう危険が!
ポイと放ることに成功はしたものの、さすがにもう眠る気はなくなりました。
午前2時。
雨は本降り。帰るに帰れない。
これでメロンパンでも持っていたら完全にコメットさん状態です。
街灯の明かりで本でも読みながら雨がやむのを待つことにしました。

4時過ぎ、空が明るくなり始めるころ、ようやく雨も小ぶりになってきたので出発です。



これは4時50分の山の様子。
日が昇り雨は上がったものの、雲がまだ厚く垂れ込めて薄暗いです。

今回は千倉より、房総半島の南端、白浜町を目指して歩く予定です。
なんだかんだで夜間もけっこう歩いたので、
このあたり、スタート地点の千倉駅よりすでに4Kmほど離れています。



たまき:う〜む。晴れませんねぇ。

物産販売センター潮風王国。5時46分。
ほんとうならこの時間からどんどん撮影するつもりだったのに、そうもいきません。
曇りだと光量が少ないし、青っぽい写真になるし、影がぼやけて屋外っぽくないし。
それに海が空の色を写して暗く見え、なんだか冬の日本海みたいです。
とにかく早く晴れることを願いつつ、先に進むことにします。
ちなみにたま坊、今回はシームレスボディではなく、ポーズをつけやすいようにOBITSUボディです。



海岸の道路脇にあった廃墟。
おそらく学校でしょうが詳細は不明です。
中に入れればちょ〜っと撮影してきたかったんですが、
バリケードでしっかりふさいであったのでさっさとあきらめました。
崩れかけててけっこう危険ですしね。



同じく道脇に立ってた変な建物。これで地下室もあるみたいです。
こういう建て方しても土地代は節約できないので、メリットが思いつきません。
生け垣内が敷地だとすると、どう考えても普通に建てたほうがいいような。
うう、こんなものしか撮るものがないとは・・・(ひどい言われような家)



7時21分。
ガンガン歩いていくと、山すそに滝が見えました。
最初、けっこう遠いのかと思ったんですが、歩いていくとすぐにつきました。
このあたりの山はせいぜい50mほどの小さな山ばかりで、それが遠近感を狂わせ、
ずっと遠くにあるものと思わせていたようです。
だから逆に、道から見たときは大きな滝だと思っていたのに、
近くに来たら意外とミニサイズの滝で・・・(笑)
この撮影後、たま坊のお尻が丸く濡れてしまっているのに気がつきます。
そういえば雨が上がったばかりでした。



8時6分。みんな起きたかな?
風上の西の空から青空が見えてきたので、すぐに晴れそうです。
海岸も撮影できそうなところだったので、すぐに降りて撮影の準備をし、
念願の直射日光がさすのを待ちます。

結局この時間までまともに撮影できなかったわけで、
これなら始発で千倉で降り、バスに乗ってここまで来てもたいした違いはありません。
むしろまともに寝ていないので、すでにかなり疲れており、デメリットのほうが多かったです。
いや、むしろメリットなどなかった!
つくづく意味のないことをしましたよ・・・・



このあたりの海岸は「屏風(びょうぶ)岩」と呼ばれる奇岩で覆われています。
ここはそうでもないのですが、場所によっては地層が縦に剥き出し、
柔らかい層だけ波で削り取られて、まるで屏風を立てたような岩の板が海岸に並ぶのです。

ところでお気づきでしょうがどの岩もなんだか丸いです。
岩場の海の荒々しい感じがあまりありません。
この岩が堆積岩でしかもそう古いものではないのか、脆くて崩れやすいためです。
岩でありながら、なんだか砂や土の塊のようで、さわると土ぼこりがついたり、
小さなでっぱりが簡単に指でボコッと壊せたりします。岩のカドが取れていく道理です。
おかげで潮溜まりの底には泥が沈んでいて、なんだか工事現場の水たまりみたいでした。



うすい泥の層がまるで木の年輪のようです。



白浜の海岸にはよくマメ科の植物が群生していました。
このあたりは花の栽培が盛んで、道路端に「花つみ」の看板を掲げた小屋と、
その裏手にポピーやキンセンカなどの花畑がたくさん見られたのですが、
こういう自然の花もまたよいものです。



岩場ばかりでなく、砂浜も思い出したようにあります。
ここはそうでもないのですが、千倉から白浜の観光地にいたる海岸はどこもゴミが多く、
かなり残念でありました。
漁業関係のことに使われる小屋が2〜300mごとに見られるのですが、
新しい小屋のすぐ脇に、古い小屋を解体して出た廃材がそのまま放置されているのとか、
ひどいところでは、


これの岩のすぐ下には自転車(ママチャリ)が1台丸ごと捨ててあったりしました。
波で流れ着くものではありませんし、
観光客はそんな自転車持ってこないので、地元の人が捨てたものだと思います。
積極的に汚してどうする。



上に突き出した岩は、たま坊のいるところに比べると硬いようですが、
それでさえカッターナイフでガリガリ削れそうな柔らかい岩です。
もしかしたらどんどん崩れて、1〜2年でこの場所の様子も今と変わるかもしれませんね。
9時31分。撮影お終い。

撮影はここでやめにしましたが、この後もどんどん歩きました。
まあ、このあと白浜の観光地に入り、良さそうな撮影場所が見つからず、
結果的にここで撮影終了ということになったわけなのですが。
野島崎灯台などの白浜の観光地を通り過ぎ、海岸から離れてバスの通る道路を
11時くらいまで歩きとおしたところで、そのへんにあったバス停で1時間に1本くらい来るバスを待ち、
館山駅から13時8分発の千葉行き電車で帰ってきました。20Km近く歩いたみたい。

結局、活動限界は6時間ほどですが、それ以前に体力はあっても
私って撮影するテンションが続かないようです。これは思えば室内撮影でもそうですね。
これなら始発で出かけても大差ないです。

今回歩いたことで南房の土地鑑みたいなものもちょっとできたので、
今度はバスなども使って機動的に撮影をしに来たいと思います。
あと、普通に”宿に泊まる”というのも魅力的なプランですよねぇ。(笑)
白浜町旅館組合の観光案内サイト
いろいろ面白そうなところもまだあるし。

しかし最後までわからなかったのが、
なぜこの茶色い岩だらけのこの海岸が「白浜」と呼ばれているかです。
砂もさして白いとは思わないし・・・。
白浜といえば和歌山の白浜ですが、あっちもこんななん?


たまき:それではさよ〜なら〜

2003年5月4日 22:56:58