待ちに待ってたコナミ 大怪獣ガメラvol.2です。 これは、昭和のガメラ7作(…もう1作あった気もするけど気のせいでしょう)に出てきた怪獣たちを、 生物感あふれる新解釈の造形で復活させたシリーズです。 オリジナルの特徴やキャラクター性は活かしつつ、骨格や皮膚感をリアルっぽくした造形〜塗装は素晴らしく、 眺めていてあきません。 |
「大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン」(1966) バルゴン 大きなオパールのような卵から生まれる、ニューギニアの伝説の怪獣。本物のオパールと勘違いされて日本に持ち込まれたところで孵化し、赤外線の効果で急速に巨大化。長い舌の先から出す冷凍液で大阪市街を凍らせ、ガメラをも倒す。背中のトゲからは虹色の光線を発射し、遠くのミサイル基地を超ロングレンジ攻撃してしまうスーパー怪獣。 水に溶けるという、地球の生物にあるまじき弱点を持っています。 体長80m体重80トン(軽っ!) のっけからめちゃくちゃかっこいいですよ、バルゴン! 虚ろな目のフヌフヌしたトカゲ怪獣が、こんなにかっこよくなって帰ってきました。 舌は着脱式で、冷凍液発射時の長い舌を つけることもできます。 牙が曲がっているのは、梱包時についた癖のよう。 今ごろ気がつきました。 本当はまっすぐです。 舌から冷凍液を出して何でも凍らせるバルゴン 「大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン」は昭和のシリーズ中唯一の大人向けの作品で、ほかの作品と違って子供が出てきません。ガメラも“子供の味方”というキャラクターが封印されてしまっています。 たしかに最後にバルゴンを倒して物語に幕を引くのはガメラですが、それまではまったく話に絡んでおらず、上映時間のほとんどは人間の愛憎劇と自衛隊の対バルゴン作戦に尺が割かれており、正直ガメラがいなくとも充分成立してしまう映画です。 …むしろガメラは出てこないほうが良かったかも。 もしガメラが登場せずバルゴンだけがピンで出てくる怪獣映画だったら、大映の作った大人向けの本格怪獣映画として名を留めたかもしれない作品となったでしょう。 しかし、現状は「ガメラシリーズ」の1作であるというだけで「子供向け」のレッテルを貼られてしまい、「子供向けなのに暗い、子供向けなのに大人の汚い部分が強調されすぎている」とかいわれてしまう、不幸な名作です。 作品中で「土人」と表現されるニューギニアの原住民とのその村は、同じころの東宝映画に出てくる南洋の島の原住民よりもやけにリアルで現地っぽく、メイクやセットなどが非常に良くできているのも特筆ものです。 |
「大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」(1967) ギャオス 富士火山帯の異常活発化により目をさました怪獣。 口から発する超音波メスでなんでも切り裂く。また夜行性で人肉を好む。(まあ平成ギャオスと同じキャラです) お食事するときは、ちゃんと手を使って食べるのがお行儀よいです。食べるの人だけど。 本人の預かり知らぬところで「鳴き声がギャオスって聞こえるから、ギャオス」だと、勝手に子供に名をつけられます。 太陽光(紫外線)をしばらく浴びると死んでしまうのです。 身長65m、翼長172m、体重25トン(軽っっ!!) 平成版ギャオスよりも、コウモリっぽい造形のギャオスです。 耳とか翼(飛膜?)の骨格あたりがそう感じさせるのでしょうか。 リアルさはあっても、平成版ギャオスにあるキモチワルさのない、 地球のケモノらしいギャオスになっています。 皮膚のテクスチャーがステキ。 夜の街にギャオ〜ス 昭和ギャオスはおなかがすくと耳が緑色に光ります。 前作「ガメラ対バルゴン」は名作ですが、やはり子供をつれて見にきていた観客のウケは悪かったようで、 結果、子供向け路線に戻されたのがこの「ガメラ対ギャオス」です。 子供向けとはいっても、東名高速道路工事とそれにともなう立退き交渉が物語の根底にあり、しかも村を守るための交渉ではなく、ゴネて土地を高く売るために村長主導で反対運動を展開しているという欲にまみれた困った大人達や、トクダネのために子供を騙す記者なんかも出てきており、ただ単純に子供向けに作られているわけではないようです。次作「ガメラ対バイラス」以降のファンタジックなジュブナイル路線とはまた違う、子供も大人も楽しめる娯楽性の高い怪獣映画になっています。 ガメラが子供の味方であるあたりはいろいろ揶揄されるところではありますが、ギャオスに襲われそうな子供をあわやというところで助けに来るガメラの勇姿は、やはりヒーローとしての魅力に溢れています。 「牙狼」のゴンザはかっこいいですよねえ。 訂正 「ガメラ対ギャオス」に出ていたのは螢雪次朗さんではなく、その御師匠に当たる蛍雪太郎さんというかたでした。 面影がないのも当然でまったくの別人であり、御両名に対して大変失礼な間違いをしました。 また、お名前も訂正前の「蛍雪次郎」ではなく、「螢雪次朗」が正しい書き方でした。謹んで訂正します。 チョビ之助様よりご指摘をいただきました。 |
「ガメラ対宇宙怪獣バイラス」(1968) バイラス 巨大化した宇宙人なんですけど、怪獣扱いされているバイラスです。まあタコだし無理もないですけど。 遠路はるばる地球を侵略しにやってきた第1陣は地球到達前に人知れずガメラに撃墜されており、 このバイラスは第2陣のひと。第2陣はガメラ対策を練ってから侵略に乗り出してきたけど、 その対策とは、「子供を人質にとってガメラにいうことを聞かせ」て「コントロール装置を植え付ける」という、 卑怯かつ頭の悪そうな方法。そうです。このへんで「ガメラシリーズ」は大きな曲がり角を曲がりました。 けっこうオリジナルそのまんまといえばそのまんまな、バイラス。 軟体動物っぽくグロくすることで、生物感やリアルさを出すことも可能だったのでしょうが、この造形師さんはどうもそういう方向性は避けておられるようで、バイラスはリファイン程度のおとなしいアレンジに落ち着いています。 それにしてもこの目つきはたまりません。じっと見ていると笑えてきます。すげーデザインですよね。 バイラスは頭部の3本の角を閉じると鋭い槍のようになり、それでガメラの腹を何度も突き刺したりします。 子供のころ見たあのシーンはずっと忘れられない印象を残しましたが、刺してるシーンは人形だというのがモロわかりなのでトラウマにはなりませんでした。 むしろ「ウルトラマンレオ」第1話のセブンの足折りみたいな、血は出ないけどリアルなのが、 大人になっても引きずるんですよねえ。 この人質の子供(2人)の命が惜しければ、全人類は降伏せよ! (この要求が通っちゃうんですから、言ってみるもんですね) 海が舞台の映画なのに、なぜか山が舞台だと勘違いしてデジラマ作った私。なんでだろー。 昭和ガメラの怪獣といえば「らんらんるーと光る目」ですが、他の怪獣のはともかく、バイラスだけはそれを再現ました。人間体のバイラス星人の、白目の部分だけ光る目も無気味ですが、あれは小さな水中眼鏡に電球を仕掛けて光らせているんだそうです。当時のカラーフィルムは感度が低く、相当明るくしないと写りませんから、使われた電球も相当明るいものだったでしょう。目のすぐ近くでそんな電球が点滅するので、眼球がすごく熱いんだとか。無茶しますねぇ。 さて、ジュブナイル路線に突入した「ガメラ対宇宙怪獣バイラス」は、その大胆なライブフィルムの使い方が印象的です。上映時間が90分もない映画なのに25分以上がライブフィルムで、しかもバイラス星人に操られたガメラが東京を破壊するシーンでは、なんとモノクロ映画である第1作「大怪獣ガメラ」のフィルムを使用。 何の説明もなくいきなり白黒映像になります。(笑) 大胆すぎ。「ゴジラ対メガロ」なんか目じゃないです。 ビデオのない時代ですから、過去の戦いのダイジェスト映像はお子様大喜びだったと思いますけどね。 かくいう私も、多分喜んで見ていたはず。…忘れました。ガメラの腹刺しシーンと、バイラス人間体の皆さんの首がコロコロッと切断されるシーンの印象が強すぎて、他は全部忘れてしまったみたいです。 |
「ガメラ対大悪獣ギロン」(1969) ギロン 太陽を挟んで地球の反対側にある惑星 惑星テラは高度な科学文明を誇っていましたが、世界を管理していた電子頭脳のちょっとした狂いが恐ろしい天変地異を呼び、あげく大量に宇宙ギャオスが発生、バーベラとフローベラの二人を残してテラの人々は絶滅してしまったのでした。そのバーべラ・フローべラが、宇宙ギャオスから身を守るためにコントロールしている番犬のような怪獣がギロンです。“大悪獣”とか呼ばれていますが、別に悪いやつではないのです。 頭部の斧のような刃はダイヤモンドの100倍の硬度を持ち、なんでも切断します。飛来する宇宙ギャオスを居合い切りの様な鋭さで、空中で迎撃し翼を切断。墜落したギャオスのもう片方の翼も間髪入れずに切断。身動きが取れない無抵抗のギャオスの首も切断。その後も胴体を切り刻みます。サクサク。 ギロンのその切断ワザの華麗さは、ガイガンをはるかにしのぎ、宇宙の切断魔としてウルトラマンAと並び賞されるほどなのです。 出刃包丁を怪獣化したかのようなギロンですが、この「ガメラvol.2」ではそれをかなり思い切ってアレンジし、新たなる宇宙怪獣としてよみがえらせました。特徴的な頭部の形状の面影があれば、体がほぼ別物であっても充分ギロンに見えるわけで、造形師さん的にもアレンジのしがいがあったのではないでしょうか。無機質な瞳がクールでとにかくかっこいいギロンです。 ギロン出撃!惑星テラの平和を守れ! 「ガメラ対ギロン」は実は今まで見たことなかった映画で、この更新を期にこのあいだ初めて見ました。イロモノという評判しか聞かない映画だったので敬遠していたのですが、……面白いじゃんコレ! 少年二人の冒険物語に、宇宙人やら怪獣やらがからんでくる、いい感じにファンタジックなジュブナイル映画だと思いました。見たものを素直に認識して行動する子供達と、ありえないと頭から否定してかかる大人の温度差。そんな大人の中で「子供たちを信じてみようか」と思い行動するのが、いたずら好きの少年達をいつもしかりつけている駐在さんであったりするのが、なかなかぐっと来るところです。この駐在さんを大村崑が元気ハツラツに好演しています。 まあでも、「ゴジラ対メガロ」って面白い!と思うような私の評価ですから、 どこかずれているのかもしれませんけど。 |
「ガメラ対大魔獣ジャイガー」(1970) ジャイガー 古代の民によってウエスター島に封印されていた、古代ムー大陸の伝説の登場する大魔獣。大阪万博に出品するために悪魔の笛と呼ばれる遺跡の石像を撤去したところ、現代に復活しました。 目の前に生えている2本の角から唾液固形ミサイル(ニードル)を飛ばし、頭部からはあらゆるものの分子構造を破壊するマグニチューム光線を発射。尾の先のトゲを別の生き物に突き刺して卵を産みつけるという生理的にイヤな攻撃もします。また、わき腹からガスを噴出して、空を飛んだり、海上をホバー移動する、まさに魔獣としかいえないような変な生き物。 ジェット噴射で宇宙まで行ったりする昭和ガメラは古代に水没したムーラシア大陸にいたという怪獣ですし、ムーといいムーラシアといい、わけのわからない生き物ばかりいた古代大陸というのは、ほんまに恐ろしいところですなあ。 胴長短足で頭でっかちのジャイガーが、 まるで角竜のようにアレンジされています。 体だけだ見ると本当に恐竜フィギュアのよう。 頭もスリムになったものの、 ダイモンに乗り移られた代官のようなワルい面構えは健在です。 また、ほんのり透明感のある素材で作られた角が 象牙のような質感でなかなか良いです。 細かい部分ですが、足の裏の吸盤もきちんと造形済み。 ガメラ対ジャイガー第1ラウンド (ウエスター島会場・LIVE) 「ガメラ対ジャイガー」は、「対バイラス」「対ギロン」のようなジュブナイル路線から、娯楽怪獣映画路線寄りに戻ってきたような作品です。公開された1970年は大阪万博の年ということで、映画自体も万博とタイアップ。本編中にも千里の丘に建設中の万博会場の映像が流れたりしますし、最終決戦の場は万博会場のすぐ隣です。 ジャイガーが「悪魔の笛」と呼ばれる石像で封印できていた理由が、直接ジャイガーの弱点とつながる伏線になっていたりするあたり巧みだし、少年達のガメラ救出作戦と自衛隊のジャイガー攻撃作戦が並行して進んでいくところも熱い展開だし、部分ではなかなか面白い怪獣映画なのですが、全体的にはメリハリのないだるい展開がつづいて、見ていてダレてしまう惜しい作品でした。 ところでジャイガーは自分を封印していた石像を追いかけて、万博会場のある大阪まで来るのですが、何で追いかけてきたのかその理由が不明のままです。大阪まできて石像を手にしたと思ったら、そのまま海に捨てちゃいますから。自分でキッチリ処分したかったのでしょうかねえ。魔獣の考えることはわかりませんな。 それにしても、「対バルゴン」に続いてまた大阪が火の海ですよ。 ここでやっとガメラの登場です。 バルゴンの画面にスペースがあれば、 凍りついたガメラを失意体前屈状態で入れたかったんですが、 木が邪魔で入れられませんでした。 昭和のガメラをリアルにアレンジということですが、 個人的にはもうちょっと目が大きいほうが良かったかなあ。 それ以外は申し分なくかっこいいガメラです。 甲羅部分のトゲトゲは素晴らしすぎます。 |
「ガメラ対深海怪獣ジグラ」(1971) 480光年の彼方、天体ナンバー105系第4惑星ジグラ星より、地表の70%が海に覆われた星・地球に目をつけて、単独で侵略にきた水棲宇宙人です。 ガメラに円盤を壊されてジグラ星に帰れなくなるわ、地球の海の水圧のせいで巨大化・怪獣化するわで踏んだり蹴ったりですが、そもそも自分の星の科学力を誇示するためだけに、中近東・ペルー・そして東京に超大型地震を起こして壊滅させるなど特撮史上まれにみる大虐殺を行った宇宙人ですから、かなりいい気味なのです。 思うんですが、高度な科学力を保持する宇宙人が「この科学力を見よ!」と自慢げに超兵器を誇示しますが、あれってその宇宙人本人が発明・開発したわけじゃないですよね、きっと。例えば、過去の世界にデジカメをもっていけば「すごいすごい」と言われるでしょうが、すごいのはデジカメを作るに至る電子的・光学的な技術の積み重ねとそれをまとめ上げて製品化したメーカーであって、デジカメを扱えるというだけのその人は、実は全然すごくないわけです。 自分の星の科学力を超兵器で誇示する宇宙人も、きっとその超兵器を扱えるだけの凡人に過ぎないから、どいつもこいつも間抜けな負け方をするんじゃないでしょうか。(笑) バイラスと同じく、リファインされたかな? 程度でほぼオリジナルそのままのジグラです。 異星の海洋生物という感じが増しておりますね。 エウロパの氷の下にこんなのがいたら、 …と思うとちょっとドキドキします。 このフィギュアは、透明の素材に 淡くシルバーが吹いてあるものなので、 不思議な透明感があります。 ゼラチン質で全身がフカヒレみたいにも見えるので、 なんかおいしそうでもあります。 このように後ろから光をあてると、 深海生物ぽいイメージに。 「ガメラ対ジグラ」は一番つまらなかったかなあ。円盤でやってきた宇宙人に子供たちが捕らえられるも、機転を利かせて脱出、といった毎度のパターン。バイラスのときと同じく「人質の命が惜しければ人類は降伏せよ」と迫る無茶な侵略者と、「しかたがない」と了承する防衛軍司令官。バイラスのときは、その要求を知った人質の少年達が「僕達もろとも円盤を攻撃してください!」と熱いことをいうのですが、ジグラのときはそれもナシ。またジグラ自体、攻撃は地味な上に打たれ弱く、ガメラの火炎放射であっさり燃え尽きます。とにかく魅力に乏しいのです。 「ゴジラ対へドラ」の前年に公開されただけに、この映画もいちおう公害問題をとりあげているのですが、舞台が房総半島にある鴨川シーワールドという自然溢れる風光明媚な観光地という、公害とは縁もゆかりもなさそうなところで、そこで公害がどうのといわれてもチグハグな印象です。個人的には35年前の鴨川シーワールドの様子が見れてちょっと興味深かったですが、なんかそれだけ。 |
「ガメラ対大悪獣ギロン」(1969)宇宙ギャオス レアアイテムの宇宙ギャオスです。 …嘘です。 だってBOX買いしたのにレアが入ってなかったんだもん! そんなわけで、ダブっていたノーマルギャオスを、 ガンダムマーカーのガンメタで塗装しました。 このガンメタは乾く前に黒い塗料とシルバーが分離して、 黒い塗料が溝部分にたまってしまうので、乾いてみれば シルバー塗装後に墨入れしたかのような仕上がりになりました。 結果的にガンメタベタ塗りよりもかっこいいので良し。 また、本物のレアアイテムの宇宙ギャオスではオミットされている、 胸や翼の赤みも再現しました。 やはりこの赤みがないと宇宙ギャオスって感じがしません。 迫り来る宇宙ギャオスの群れに、敢然と立ち向かう大悪獣ギロン! バーベラとフローベラを守るため、行けギロン!戦えギロン! やはりギャオスは“群れ”が栄えますねえ。 右上と左上にいる、斜め上から見たギャオスがメチャかっこいいです。 |
2006年2月28日 22:01:12 |