千葉県の安房鴨川に行ってきました。

房総半島の太平洋側の南寄りに位置する鴨川市は、南国を模した雰囲気の開発が行われ、
綺麗な海とあふれる緑が自慢の、夏の観光名所としてとても栄えています。
都心部から行くにはなかなか遠いのですが、だからこその良さがあるかもしれませんね。


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こちらは鴨川の最大の観光名所、鴨川シーワールドです。
1970年にオープンしたこちらは、充実した水族館施設のほか、シャチやイルカショーや、ベルーガ(シロイルカ)やアシカのショーも連日開催されていて、
海の生き物の魅力をたっぷり楽しめる総合海洋レジャーランドとなっております。
ちなみにシャチが見られる水族館は、関東ではこの鴨川シーワールドだけ。
そのショーでは、自動車ほどもある巨体が宙に舞う大迫力のパフォーマンスを見ることができます。

   


しかしながら今回私が鴨川に行ったのは観光目的ではございません。

皆様ご存知の通り、鴨川はとある映像作品の舞台になっていまして、
その作品関連のデジラマを作るにあたって、背景用の画像を撮影するために行ってきたのです。
インドア派で出不精な私ですが、撮影という目的があると結構あちこち行ってしまいます。
今回も電車で片道3時間くらいかけて、お出かけしてきました。


さて、鴨川を舞台とした映像作品といえば??








鴨川といえばもちろん、「ガメラ対深海怪獣ジグラ」です。

1971年公開のこの映画では、開園当初の鴨川シーワールドをロケ地に使用しており、
40年前のシーワールドの、今とは違う様子を見ることができてなかなか興味深いです。
現在シャチやアシカたちがいるシーワールドの奥のほうには、昔は大きなプールがあり、
今は小高い丘や花壇がある辺りには、回転しながら上昇する展望台があったようですね。
鴨川シーワールドが直営する鴨川シーワールドホテルも出てきますが、こちらは当時もいまもあまり変わらぬ佇まいでした。
この海岸でガメラとジグラが戦ったんだと思うと胸が熱くなります。
舞台探訪の醍醐味ですね。

ガメラフィギュアはコナミの「SFムービーセレクション 大怪獣ガメラVol.2」より、ガメラとジグラです。
画面比率は大映スコープ。






「ガメラ対深海怪獣ジグラ」の配給は、「ダイニチ映配」でした。
ほとんどの方は聞いたこともない配給会社だと思いますが、テレビに客を取られて斜陽の時を迎えた映画会社の大映と日活が、
1970年4月にお互いの映画館を使いあうために提携を結んで立ち上げた配給会社の名前が、「ダイニチ映配」なのです。
大映映画2本立て/大映と日活2本立て/日活映画2本立ての興行を、1ヶ月を三等分して10日づつひとつの映画館で行うというものでした。、
お互いの映画館を使えることで公開館が増えるので収益もより多く見込めることと、
製作本数が少なくなるので粗製乱造といわれた製作体制が改まるであろうということが期待されました。

しかし残念ながら、公開館が増えても客足は増えることもなく、
また、製作本数が減っても内容は粗製乱造のままだったそうです。
期待した収益を上げることもなく、71年8月、日活が映画製作を中止したため、ダイニチ映配はその役割を終えました。
大映は71年12月に倒産。
ガメラシリーズもこの「ガメラ対深海怪獣ジグラ」で中断されてしまいます。(次作の予定もあったんですけどね)


ちなみに日活は倒産せずに、その製作体制を大きく転換しました。
71年11月に「日活ロマンポルノ」として、監督やスタッフはそのままでポルノ映画制作会社になったのです。
アクション映画しか撮ったことがない監督が、いきなりポルノ映画を撮るしかなくなる状況というのは恐ろしいですね。
昔の映画館は商店街の真ん中に普通にあったりしたのですが、そこがいきなりポルノ上映館になるという大事件が、このとき全国で起こりました。
それもなかなかカオスで恐ろしいです。
新潟でも同様で、当時まじめな小学生だった私は、古町の穏やかな商店街に突如現れるポルノ映画のポスターに戦慄したものです。


なおガメラフィギュアはX-PLUSのものです。
目を光らせてみたらなんか収まりが悪いので、レタッチせず消灯しています。(目の発光は大映怪獣のお約束なんですが)


参考資料:
映画秘宝EX 鮮烈!アナーキー日本映画史1959~1979 (洋泉社MOOK)
ロマンポルノと実録やくざ映画―禁じられた70年代日本映画 (平凡社新書)






ガメラフィギュアは海洋堂のリボルテック「ガメラ(1967)」です。うつろな目がとても良い感じ。

背景の左側にある島は「二右衛門島」。
鴨川の観光地のひとつで、代々、平野二右衛門さんの世帯のみが住んでいる島です。
「ガメラ対深海怪獣ジグラ」にはこの平野二右衛門さんが出てくるのですが、もちろんご本人ではありません。

(C) 角川映画

吉田義夫という役者さんが扮しているのですが、髪もヒゲもぼうぼう。
黒くボロボロの着物を着て、その辺の岩場にはえてる海藻をムシャムシャ食べてます。OH…
曰く、「800年前に頼朝公から島をいただいて以来、代々この格好なんじゃ」だそうです。マジか!?
このひと、話に関係なく出てくるだけなのに、妙にキャラが立ってて印象深いのですよ。
ところが、実際の平野二右衛門さんはこんな紳士。
映画とはいえでたらめすぎでしょう。いいのかなこれ。
それとも、40年前は実際こういう…

映画冒頭でナレーションで「21世紀末、人類は月面に進出していた」といって月面基地とかも出てきてるのに、
この二右衛門さんは「今は1971年だ」と明言してしまって、いろいろ辻褄が合わなくなってるのも印象深いです。






こちらは鴨川に降り立った平成の「ガメラ2」のガメラ。
フィギュアは、世界一かっこいい怪獣フィギュアだと私が思っているCCPのガメラ(2)です。かっこいい!そしてちょっとカワイイ。

手前の家屋や電線は全部きれいにマスクして、背後にガメラや土煙を合成しております。
最近は、ティルトシフト風に背景を加工したりすることが多いのですが、
あれの作業と比べると、この画像での電線1本1本切り抜きとか楽なものです。相対的に。


さて、ガメラの右手の先に見える山の、ちょっとした出っ張り。
これは大木ではなく「魚見塚展望台」といいまして、別名誓いの丘とも呼ばれる鴨川の観光施設です。
最近では当地を舞台にしたアニメが放映されていますが、そのアニメのファンが訪れて思い出を記す「ラグりん思い出ノート」も、
この展望台にあったりします。




それではつづいて、鴨川を舞台としたアニメ「輪廻のラグランジェ」のデジラマに行ってみましょうね。
なにごともなかったようにね。


  


3つの椅子は同じくらいの大きさに見えますが、左の青いのは1/4スケール(スーパードルフィーなど用)、
緑は1/10スケール(長門さんフィギュアのもの)、オレンジは1/12スケール(figmaサイズ)です。
椅子の形もアニメとはぜんぜん違うんですけど、まあどうせ誰も気づかなそこは雰囲気でお願いします。

ちなみにこの画面を構成するパーツですが、前述の通り椅子はミニチュア。
堤防は内房の新金谷。海は外房の千歳あたり。空は市川市の空を、合成して作った風景です。

ぜんぜん鴨川じゃなかった!






魚見塚展望台(誓いの丘)
詳しくはこちらの鴨川市のサイトをご覧ください。

ウォクス・アウラ(ピアサー形態)は海洋堂新カプセルパイロット版のガチャのやつ。かっちりした出来の良フィギュアです。
ウォクスのデザインは立体にしてみるととても良いですね。
有機的につながる曲線が全体を覆っていて、特に優美な翼は美しく、また繊細にデザインされています。
アニメではあまり感じませんでしたが、これ、立体栄えするデザインだったんですね。
あと、なんとなくオーガスを連想させる個性的なフォルムも好きです。ウォークス・アウラ(タンク形態)はないんだろうか。


この背景の写真は鴨川市街側ではなく、山の反対側の八岡海水浴場のほうから撮影したものです。
携帯のナビアプリによると、この辺から展望台に登れる道があるというので、安房鴨川駅ではなく太海駅で降りて、
こちら側からアプローチしようとしていたんですが、実際に行ってみたらそんな登山道はなかったんだぜ。


松島ホテルの脇の道から登っていったら、廃屋?古い空き別荘?
みたいなちょい荒れた建物のところで行き止まりでした。
あとでほかのマップで調べてもやっぱりこんなところに道はなかったし。
低いとはいえ、やはり山道で携帯のナビを頼りにするのは危険だったか…
なんとも恐ろしい事件でした。

結局、ここで曲がらずに、もう少し先の八雲神社のわきの道から登っていきました。
徒歩で訪れる方はこちらのルートもお勧めです。






こちらはリボルテックのウォクス・アウラ(ピアサー形態)。
バンダイのロボット魂のウォクス・アウラは変形しませんが、こちらは一部差し替えで変形します。

軟質めの素材のパーツの仕上がりがあまりよくなかったので、普段はあまりやらない表面の改修を、レタッチでほぼ全面的に施してあります。
あと翼の緑色の発光部分は、フィギュアでは赤紫色ですが、アニメ本編では活動中はこのように発光しているので、
そちらもレタッチで色変更+発光をさせています。





魚見塚展望台から鴨川市街を臨む
左は山、右は海。
鴨川市街が見渡せてとても気持ちの良い展望台です。
雲もちょうど、立体感と奥行きのあるムクムク形に湧き上がっております。
そんな空を飛び行くウォクス・アウラ(ピアサー形態)。
こちらはガチャのほうのフィギュア。






展望台から降りてきまして、鴨川の海岸に着陸するウォクス。
いろいろ吹き飛ばされていますが、まあ大事の前の小事。

ウォーリア形態(この人型形態のこと)の出来はバンダイのロボット魂のウォクスのほうがかっちりした印象です。
関節に工夫が凝らしてあって可動範囲も広いみたいだし、おもちゃとしてはすごく優秀ですね。
白い部分がほとんど無塗装成型色なので、塗装を気にせず遊べるのも良いです。

ですがその成型色の部分は当然ながらプラスチックっぽい質感で、撮影すると照明が透けてるんですよ。
白いプラスチックは薄い部分は半透明なので、逆光だとエッジ部分が光を透過してうっすら光るので、見た目もものすごくおもちゃっぽくなるのです。

リボのウォクスはほぼ全塗装なので光が全然透けませんし、重量感もあったりします。
合成にはこちらのほうが使いやすかったり。





鴨川を守るために戦うウォクス・アウラ。見せろジャージ部魂!
しかしあの「同志!」っていうのは聞くたびに冷戦時代のスパイ小説のノリを思い起こしてしまいます。
物語もクライマックスですが、地球に平和は訪れるのか、よりもジャージ部存続のほうが気になりますね。ムギナミは目立てるのか?も気になりますね。

リボルテックの話に戻りますが、しかしながらこの成型素材はパーティングラインができやすいのか処理が難しいのか、各所にだいぶはっきりと残っております。
直線であるべき部分がなんかヨレヨレしているし、ちょっとイケてないところも目立ちます。
もっとも、手のひらサイズの物ですから、ここまで拡大して見られることは想定外なのかもしれませんが。
レタッチのビフォア/アフターをgifアニメ化してみました。こちら


本当は、この「ラグりん」のための鴨川撮影行だったのですが、いざ現地に着いてみたら自分の中で「ガメラ」の3文字がどんどん大きくなってきて、
歯止めが利かなくなってしまいました。
ネタというにはガメラ画像が多い理由は、ネタではなく「ただ単に本気なだけだから」だったりしますよ。



○これアップし忘れてました(09/09)



はい、ラストです。
こちらは当初、うっかりアップロードし忘れていたものなのです。
アップしたてで見ていただいていた方には申し訳ないのですが、こんなんもありますよ。

鴨川市街を上昇していくウォクス・アウラ。
見所はといえば、ウォクスを合成しただけで、光とか雲とかはこれ実景そのままというところでしょうか。
光は、太陽です。
その太陽にちょうど重なるように、飛行機雲っぽいなにか直線的な謎の雲が垂直に立っていまして、
そこを写させていただいたしだいです。
ちょっと移動したらもう両者の位置はずれていましたので、垂直飛行機雲は案外近かったようです。
花火の試し打ちとかですかねえ。


2012年9月7日 15:29:47