Google VR viewで見るVRデジラマ


VRデジラマ

VRデジラマとは、
上下前後左右360度すべてを覆う球面の画像上にフィギュアとかを合成したデジラマ画像です。
通常のデジラマ画像は撮影素材をPhotoshopで合成するだけですが、3DCGを大幅に取り込んで
デジラマの世界に入り込める画像を作りました。


Google VR view

360度の球面画像を見るためには、いままでは専用のアプリとか専用のサイト(GoogleストリートビューやリコーのThetaのページなど)が必要だったのですが、
今年の春にGoogleが発表したVR viewという技術で、普通のブラウザに埋め込むことができるようになりました。
しかもこのVR viewをスマホで見ると、スマホを下に向ければ下の景色が、振り返れば後ろの景色が見えるという、
まるでその世界に入りこんだかのような見かたもできるのです。
詳しくはこちら [Google、アプリやウェブサイトに360度コンテンツを埋め込む「VRビュー」を発表]


なので今回は、普通にパソコンでも見られるのですが、
スマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器で見ていただいたほうが面白い画像です。
また、スマートフォンをセットして見れるVRゴーグルがあれば、なお良いと思います。

  
ガラケーだと無理かも…? 
サポートしているブラウザは
Chrome on Windows, OSX, Linux, Android, and iOS
Safari on OSX and iOS
Firefox on Windows, OSX, and Linux
IE 11 and Edge on Windows
だそうです。


ではそのGoogle VR viewを御覧ください。
こちらは製造元のGoogleで用意しているサンプルの画像です。(リンク切れてますね…)

画面右下のをクリックすると全画面表示になります。
また、スマートフォンなどで表示されるをタップすると、VRゴーグル用の2画面分割モードになります。
(スマホは横にしてください)(no cardboard viewer? とか出たらしばらく待てば分割画面になります)


で、これでデジラマ作れないかといろいろ試行錯誤した結果が、今回の更新なんですが、
デジラマ作成だけでなく、このVR viewも導入も慣れないこといろいろやってかなり大変でした。
ぎっとはぶ?ぷっしゅ?ぶらんち?CORS対応サーバ?
ただ画像にリンクすればいいんじゃないんですか…?



そんな艱難辛苦を乗り越えて、まず作ろうと思ったのはストライクウィッチーズのVRデジラマでした。
大空という3次元空間で戦う彼女たちはこのVRデジラマの題材にピッタリですからね。
上にも下にも合成できます。

しかし、思いついたはいいものの、作るとなるとそう簡単にはいきませんでした。
360度カメラで全方位を撮影した球面画像を全天球画像というのですが、
まずVRデジラマを作るには、背景として使うこの全天球画像が必要です。
そしてストライクウィッチーズのデジラマで必要なのは「全天球の航空写真」です。

…ありません。

個人では360度カメラで航空写真を撮影なんてとてもできませんし、
たとえ航空機で飛んで撮影できたとしても、360度カメラではその航空機までバッチリ映ってしまうので、全方位が空と陸だけという写真は撮れないのです。
というわけで、ストライクウィッチーズで使えそうな背景画像は、どうやらほぼ存在しないものだったのです…

そこで思い出したのが、以前のストライクウィッチーズの更新(これこれ)で使ったTerragen3PROという景観生成ソフトです。
さいわいにも全天球画像で出力できたので、これで背景を作りました。



ネウロイの巣に挑む501の皆さんと零戦部隊です。


ストライクウィッチーズ VRデジラマ

しかし、合成し始めて気がついたんですけど、どっちを向いてもウィッチがいる、という画像にするためには、
前後左右上下に、最低6人くらいは合成しないといけないんですね………
これもしかして、1枚作るのに1回分の更新くらいの手間がかかるのでは?       <はい、かかりました


なお、球面の最上部と最下部にギュッと寄せたようなシワができるのはVR viewの仕様のもよう。サンプルも同じようになってますし。


続いて制作したのはBDが発売されても劇場版が絶賛放映中の「ガールズ&パンツァー」のVRデジラマ画像です。
先ほどの「ブラウザ埋め込みVR画像」なんですが、1ページに5つ埋め込んだのをipadで開いてみたら、
負荷が大きかったのかchromeがさくっと落ちました。
機器によっては1ページに2個くらいが限度っぽいので、下のリンクからそれぞれの画像のページでVRデジラマをご覧ください。




大洗マリンタワー



大洗磯前神社 大鳥居



福本楼前



継続高校分校前


これらのVRデジラマの背景画像は、大洗まで行ってリコーの全天球カメラTHETA Sで撮影してきました。
良いカメラなですが、もうちょっと解像度が欲しいです。


さて、これらのVRデジラマのためにもう一つ用意したのが、こちらのIV号戦車になります。
手持ちの1/48スケールのプラモデルのIV号戦車だと小さすぎ、球面に合成するのに制限がありすぎて使えないので――




CGでIV号戦車D型改(H型仕様)をつくりました。
3日くらいかかって。ぶっ刺しモデリングで。
ほぼシュルツェンで隠れちゃう履帯部分も、このようにある程度ちゃんと作ったんですよ。
塗装や質感は、ワンフェスでも展示されていた1/1IV号戦車を参考にしました。



以上、VRデジラマでした。
思った以上に手間がかかりましたねぇ。
素材制作から背景の全天球写真の撮影・合成まで慣れないことだらけで、
唯一楽だったのは、CGはマスクが自動的に作られるので、IV号戦車のマスク切りをまったくしなくてもよかった、というところです。
女の子のフィギュアのマスク切りは正直楽しいのでなんぼやってもいいのですが、メカのマスクを何度も切るのはなんか辛いんですよ。
でもまぁ、試行錯誤ばかりだったのでちょっと新鮮な気分でデジラマが作れました。


※当初、本文中で全天球画像とHDRI画像を混同した説明をしていましたので訂正しました。2016年9月2日

2016年8月27日 0:36:36