12月1日(火)雨

今日は朝から雨でした。
風も強くて、窓の外のヤシの木が可哀相なくらい揺らされています。
こんな日は、床の下が海だっていうのがちょっと不安かな。
海面からは高いから、波とかは大丈夫なんだけど。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 紅蘭:なあ、たまき。目薬持ってる?
たまき:あるよ、ちょっと待ってて。(ごそごそ)
    ・・・・・・目薬切れたって言ってたの、だいぶ前じゃない?

 紅蘭:いっつも買い忘れるんや〜。
    薬局の前を通っても思い出さんのに、家に着くと思い出すんやな。(笑)

たまき:目薬あったよ。はい。疲れ目用だよね。
 紅蘭:おおきにな。
    ふー・・・・・・。あともうちょっとで終いやな。



たまき:ワープロ打ち?ホドホドにしないと・・・・・・。
 紅蘭:そうも言ってられんのや。これ訳し終わらんことには、
    大事なことがなんにも進まんらしいからな。
たまき:大変だね。
 紅蘭:まあな。あとで変な日本語ないか、見て欲しいんやけど。
たまき:任して♪
 紅蘭:ほな、もうひとふんばりしてくるわ。
たまき:あとでお茶持って行くよ。

こんな話をしていた時、家中の電気が、急に「プツン」と消えて
あたりは真っ暗になりました。


たまき:あっ、停電だ。
 
紅蘭:うそや〜・・・・・・。データが・・・・・・。
たまき:消えちゃった?取っておかなかったの?
 
紅蘭:うん。
たまき:・・・・・・大丈夫?紅蘭。
 
紅蘭:2時間分くらいや。あ〜あ、ショックやなぁ。
    ・・・・・・まあ、保存しなかったうちが悪いんやけどな。
    こういう儚いのって、日本人の美意識に訴えかけるん?(笑)

たまき:訴えかけないよ。(笑)
    まさかと思うけど、ブレーカー見てくる。
    紅蘭、懐中電灯持ってたよね。
 
紅蘭:いま電池切れてるんや・・・・・・。
たまき:それも、だ〜いぶ前に言ってたよね。
 
紅蘭:今は何も言わんといて。
たまき:じゃあ、手探りで見てくる。上になっていればONだよね。
 
紅蘭:ガチャガチャやれば間違いないで。
たまき:そうだね。(笑)


たまき:確かこの辺にあったと・・・・・・、あったあった♪
    え、と。今は上だね。(ガチャン、・・・・・・ガチャン)
    やっぱりブレーカーじゃないや。ほんとの停電だ。
    
たまき:でも、台風でもないのに、どうしたんだろうね。
 
紅蘭:電力会社に電話してみよか。
たまき:停電でも電話は使えるの?
 
紅蘭:電話線を通じて電気が来てるんや。
    キッチンに行って、ガスコンロの火で支払明細の電話番号見よう。

たまき:紅蘭頭いいね。
 紅蘭:あほ。



(ガチャン・ボッ
たまき:二つもつけると、ガスコンロも結構明るいね。
 紅蘭:ひとつひとつは単なる火やけど、二つ合せれば炎やからな。G( ̄ー ̄)
たまき:なんとか読めそう。え〜とね。
 紅蘭:ちょい待ち。電話のダイヤルが見えんのや。今そっちに持ってく。
    コードがなかなか伸びんで・・・・・・(ズルズル・ガッシャン!)

たまき:いま、なにかが割れ・・・・・・。
 紅蘭:うち、今日はダメダメやな。・・・番号ゆうて。
たまき:まだちょっと暗いな・・・・・・。近づけると熱いし。
    え〜と、▲×●−▲▲××。

 紅蘭:ハイな。
 
電話:(トゥルルルルル、トゥルルルルル・・・・カチャ)
    ・・・ハイ、虹野です。・・・わ、私に、御用?

 紅蘭:うわ、すいません、間違えました。

 電話:あれ、その日、約束が入ってる・・・。
    ごめんね、だめみたい。今度、また誘ってくれる?

   紅蘭:は?・・・いえ、こちらこそ、ほんま、すいません。(チン)
    番号ちゃうやんか〜!
たまき:だってよく見えないんだもん〜。
 紅蘭:・・・・・・大体いまどき「ときメモ」ネタかいな。(笑)
    もお、ええわ。うちに貸して。


 紅蘭:はい、・・・はい。おおきに、すんません。(チン)
    トラックが電柱にぶつかったらしいわ。
    停電しとんのは、ここと、あと4〜5軒だけらしいで。
    電気が来るんは、だいたい1時間後ということや。

たまき:1時間か・・・・・・。どうしよう。
 紅蘭:仮眠とるにはハンパな時間やな。
    たまきの部屋に行こう。うちのとこ散らかってて足元危険やから。(笑)

たまき:はいはい。

(笑)

 紅蘭:さて、まっくらやし〜、どないしよ。
    怖い話でもする?(笑)

たまき:なんでよ〜!
    やめようよ・・・・・・。

 紅蘭:そう?残念やなぁ。
    もう雨はやんだみたいやな。ベランダ出よか。
    ちょっと風に当たりたいわ。

たまき:そうだね。
    私も波の音、聞きたい。あ、椅子持って出よう。



たまき:星は出てないね。
    外のほうが明るいかと思ったけど、自分の手も見えないや。
    でも涼しくなって気持ちいいね。

 紅蘭:波の音ゆうんも、改めて聞くと気持ち安らぐなぁ。
    疲れが取れていくみたいや。



たまき:ねえ、変なこと聞くけど、
    紅蘭て日本語で文章書くときは標準語じゃない。
    標準語でもしゃべれるの?

 紅蘭:そらしゃべれるで。
    テレビ見てれば耳に入ってくるから自然にな。
    ・・・だからこうやって、たまきと同じようにしゃべれるよ。
    ちょっとイメージ違うでしょう?

たまき:暗いとこだと、イメージ違うどころか別人みたいだよ〜。
    でも意外だなぁ。紅蘭がそうやってしゃべるなんて、
    いままで想像したこともなかった。
    紅蘭じゃないみたい。

 紅蘭:しゃべりかたが違うだけで、あたしはあたしだけどね。
    でも、なんだか違う一面を出しているみたいよね。
    まあ、人の見せるいろんな面って、結局その程度の違いで、
    優しいとき、残酷なとき、楽観的なとき、心配ばかりするとき、
    どれでも根は同じようなものなんだろうけど。


たまき:いろんな面か・・・・・・。
 紅蘭:ところで言葉、もう戻してもいい?(笑)
たまき:お願い〜。実は、なんだか落ち着かないの。(笑)
 紅蘭:うちもや〜。こっちのほうが、なんぼしゃべりやすいか。
    標準語はしゃべりにくうてなぁ。

たまき:そういうもの?


 紅蘭:海も真っ暗やな。こないなとこに落ちたら、上も下もわからんなりそうや。
たまき:手すりに気をつけてね。
    明かりがないと、落ちても助けに行けないよ。


 紅蘭:真っ暗ゆうたら、たまに見る、夜間飛行の夢を見るのを思い出すなぁ。
たまき:やかんひこう?夜に飛行機で飛ぶやつ?
 紅蘭:そうや。
    うち、そんなんやったことないのに、妙に鮮明な夢を見るんや。

    夜空を昔の飛行機で飛んどってな・・・・・・。
    座るとこが2個しかない複翼機やで。

    うちが操縦しとって、後ろの席に誰か乗ってるんや。
    暗くて顔はよう見えんけど、その人はな・・・・・・、まあええわ。
    それで二人して、夜の街の上空を飛ぶんや。
    空から見る夜景って、展望台とかから見るのとは全然違うてな、
    ほんまに吸い込まれそうなんやで。

    真っ暗いとこに小さく光るひとつひとつの灯かりが、
    それぞれみんな、うちらを祝福して輝く宝石みたいでな。

    うちはそれ見て、はしゃぐんやけど、
    後ろの人は夜景なんか見てないんや。

    そんなん感じて、せやからうちはその人に伝えたいことがあるんやけど、
    風を切る音がおおきゅうて、大声で叫ばんと届かんのや。

    でも・・・・・・恥ずかしゅうてな。
    切のうなってくるんや。変な夢やろ?

    ・・・・・・伝声管か有線電話を設置したらええのにな。(笑)

    なんか暗いとこやと調子くるうな〜。
    うち、何の話してんのやろ。


たまき:あのね、わたし。
    わたしは夜の海岸を歩く夢を見るよ。

    空は真っ暗なんだけど、砂浜が淡く光っているの。
    その砂をコルク栓付きの小瓶に入れると綺麗なビーズになって、
    瓶の中で水みたいに揺れるんだよ。

    嬉しくなって、それを家に持って帰るんだけど、
    そうするとただの砂に戻っちゃうのね。
    

    いつもはそうだったんだけど、最近見たのはちょっと違ってて、
    もうひとりの人と一緒に海岸に行って、
    同じように砂を瓶に詰めるんだけど、
    その人と一緒だと砂に戻らないで、ビーズはビーズのままなの。

    それで、二人で嬉しくなって笑うの。
    ・・・・・・変な夢だよね。


 紅蘭:かわいい夢見るんやな、たまき。
たまき:紅蘭もステキだね。

 紅蘭:えと、もう大分時間たったな〜・・・・・・。
    電気はまだかいな。

たまき:もう1時間以上たったね。
 紅蘭:なあ、もしかして、さっきブレーカーいじったときに、
    スイッチがOFFになったままなんとちゃうか〜?

たまき:・・・・・・え?
    そんなことないと思うけど?

 紅蘭:・・・・・・。
たまき:見てくるよ。念のため。
 紅蘭:念のためやな。


たまき:(ごそごそ)スイッチが上向いてるからONだよね。


        パッ

たまき:あ、ついた♪停電が終わったんだ。
    やっぱり上向きはONで良かったんだ〜。


たまき:紅蘭!電気来たね!
 紅蘭:来たねって・・・・・・。
    たまきも案外おっちょこちょいやな〜。

たまき:へ?
 紅蘭:まあええか。余分に休めたから、もう目も痛くないで。
    


たまき:なによ?何のこと?
 紅蘭:いままでスイッチがOFFやったから、ONに入れたんやろ?(笑)
    ・・・・・・別に怒ってへんで。
    たまきと話しとったら、かえってやる気出てきたわ。

たまき:違うよ!ちゃんとONだったの〜。
    タイミングよく停電が終わったの〜。

 紅蘭:よ〜し、消えたデータの分、取り戻すで〜!
たまき:信じてよう〜。
 紅蘭:そや、キッチンでうちが壊したのの片づけ、よろしゅうな。
たまき:だから違うのよう〜。\(>0<)/

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

違うのよう〜。(笑)
なんだかな〜。
タイミング悪かったね。

暗いところだと、普段はしないような話をしちゃいますね。
自分でもちょっとびっくりです。

紅蘭には話さなかったけれど、
夢の中に限らず、普段でもステキなところに行ったときには、
るーくさんと一緒にいるつもりで、心の瓶にそこの砂を詰めます。
そうすると、ちゃんとビーズになるの。
そんな小瓶が、だんだん溜まってきました。

いつか本当に二人でそこに行って、二人で笑いたいな。

紅蘭の仕事も終わったようです。
おつかれ様、紅蘭。

それじゃあ、お休みなさい。



   

 

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