12月24日(木)晴れ メリークリスマス! クリスマスイブですね。 今日はジュディさんの家でパーティーです。 そのときに、ワンパともお別れ。 そして、・・・るーくさんに私の気持ちを伝える日です。 心に溜めたビーズの小瓶を、ひとつひとつ、ほんとの思い出に変えたいな。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 そろそろ約束の3時です。 家のテラスでるーくさんを待ちます。 紅蘭:それ、結構すごいドレスやな。短いんちゃうか? たまき:やっぱり〜? どうしようか。 これ、店員さんに乗せられちゃってさぁ。(笑) 紅蘭:いや、でもよう似合ってるで。ちょっと意外なくらいや。 たまき:紅蘭こそそのチャイナドレス、ハマってるね。 さすがって感じだよ。 紅蘭:ほんま?おおきにな。ちょっと自信がついたわ。 そろそろ、るーくはんが来てくれる時間やで。 ワンパ:ワフルルゥ。 紅蘭:今日でお別れやな、ワンパ。 短い間やったけど楽しかったで。 ワンパ:ワフ。 たまき:ドレスに毛が付いちゃうよ。 紅蘭:そんなの、かまへんわ。 ・・・むこうに行っても元気でな。 ワンパ:ルフ? 紅蘭:どないしたん? たまき:るーくさんが来たんだよ、きっと。 ワンパには、ヘリコプターの音が聞こえるんだね。 ・・・ねえ、砂浜におっきく「メリークリスマス」って書かない? 紅蘭:上空から見えるようにやな。おもろそうやんか。やろやろ! ・ ・ ・ 紅蘭:来た来た。 たまき:お〜い! 紅蘭:はしゃいどると、風でスカートめくれるで。 たまき:ひゃっ、あぶないあぶない。 ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン るーく:メリークリスマス。 お待たせしました。 この砂浜の「Merry X’mas」、上からよく見えましたよ。 紅蘭:ほんま?書いたかいがあったな。 るーく:お二人とも、ドレスがよくお似合いですね。 たまき:そうですか?えへへ。 紅蘭:・・・おおきに。 るーく:すみませんが、ワンパを呼んでいただけますか? 紅蘭:そうか、これに乗せなあかんのやったな。 ワンパー!ジュデイはんのとこに帰るんやで。 こっちにおいで。 たまき:おいで! ワンパ:ワフ〜! 紅蘭:よーし、ええ子やな。ここにお入り。 るーく:ありがとうございました。 それでは参りましょう。 「レッドリーダー、スタンディングバイ。これからお屋敷に戻ります(ザッ)」 じゃあ、離陸しますよ。 ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥン ヘリコプターは舞い上がりました。私たちの家がみるみる小さくなっていきます。 紅蘭:うわぁ、めっちゃ高いなぁ。うちらの家があんなに小さいで。 ほら〜見てみい、たまき。 たまき:ほんとだね。 あんなに大きく書いた字も、ここから見るあんなに小さくなっちゃうんだ。 紅蘭:すごいな〜、るーくはんは。こんなん飛ばせるんやからな。 ・・・うちもな、いつか自分で飛行機飛ばすのが夢なんや。 るーく:李様は器用なかたですから、きっと出来ますよ。 紅蘭:「こうらん」でええっちゅうのに〜、硬い人やなぁ。 るーく:そうは参りませんよ。 たまき:るーくさんはパーティーに出られるんですか? るーく:いえ、私は使用人ですから。 それに、お客様の送迎の仕事がありますので。 クリスマスパーティーは、明日仲間内でささやかに開く程度です。 たまき:そうなんですか。なんだ・・・。 るーく:・・・あ、つまらないことをお話してしまって、失礼しました。 私のことはいいですから、お二人とも楽しんできてください。 紅蘭:大変なんやね。お仕事頑張ってや。 るーく:ありがとうございます。 あ、見えてきました。あれがお屋敷です。 紅蘭:あれが?お屋敷ちゅうか、ビルやん。(笑)・・・・・・でっかいなぁ。 たまき:すご〜い・・・・・・って、通り過ぎちゃうんですか? るーく:ジュディ様が、別の場所でお二人をお待ちなんです。 ついたのは、お屋敷から少し離れた大きな建物でした。 作業服を着た人達が何人か働いています。 ヘリポートでジュディさんが待っていました。 たまき:メリークリスマス!今日はお招きいただいてありがとうございます。 紅蘭 :メリークリスマス、ジュディはん。 ジュディ:ようこそいらっしゃい。メリークリスマス。 二人とも可愛いらしいわね。 私にとっては最高のクリスマスよ。 ワンパ、・・・お帰り。 ワンパ:Wofrrrrw〜。 ジュディ:いままで、ごめんね。 たまき:あの、私たちはワンパとここでお別れですか? ジュディ:そうなっちゃうわね。 紅蘭 :ここがワンパの新しい家なんやね。 これまた大きいなぁ。 こんなん1〜2ヶ月で作らはったん? ジュディ:いえ、倉庫のようなものを、買い取って改装したの。 以前は、なにに使われてたんのかしらね・・・。(笑) 紅蘭 :ふ〜ん、すごいなぁ。 たまき:ワンパと代わってもらう? 紅蘭 :あほ。(笑) でも、ジュディはん。気ぃ使ってもらってありがたいわ。 ワンパも、ジュディはんとここで暮らせるなら幸せやろ。 新しい家を見せてもらって、正直安心したで。 たまき:・・・そういうことか。私、にぶいんだな。 ワンパ、元気でね。 ワンパ:ワフゥ・・・。 紅蘭 :もう、おじいはん襲ったらあかんで。(笑) ・・・ここで幸せにおなり。 ワンパ:ウフゥ・・・。 紅蘭 :あんたと過ごした3ヶ月間、ほんま楽しかったで。 ほんまにな・・・。 あかん・・・、うち湿っぽいの苦手やのに自分で我慢できん・・・。 たまき:・・・・・・紅蘭。わたしだって・・・・・・う。 ジュディ:紅蘭さん、たまきさん、ごめんなさいね。 お二人に辛い思いをさせて。 ・・・ワンパのこと、あとは任せて。 もう絶対手放さない。 だから、私のことを許してね。 たまき:えっえっ・・・・・ぐし。 ワンパ:・・・ウォフルルルウ。 紅蘭 :・・・見てみぃ。うちらが泣いてるからワンパが困ってるで。 たまき:・・・・・・ほんとだ。 ・・・クスッ♪ ワンパ:ワフゥ。 たまき:いままで・・・ありがとう。 ジュディ:・・・・・・じゃあ、るーく。 るーく:はい。ではそろそろ会場のほうに参りましょう。 紅蘭 :・・・せやな、そうしよか。 いつまでも泣いてるわけにいかんしな。 今日はクリスマスや。メリーにしてなあかん。 たまき:うん。 たまき:バイバイ、ワンパ。 紅蘭 :再見。 ワンパ:WORRRRRW! ・ ・ ・ ・ お屋敷のビルほうのヘリポートは広くて、他にも何機かヘリコプターが止まっています。 そこから歩いてすぐのところに、クリスマスのパーティー会場がありました。 るーく:こちらがパーティー会場です。 紅蘭:これはすごいなぁ。宇宙船か、何かの基地みたいやん。 こんなハイカラなとこでやるんやね〜。 るーく:普段はジュディ様がお仕事をされるところです。 たまき:私、ここテレビで見た事ある気がする。 ・・・ジュディさんのとこだったんだ。 会場の中に入ると、着飾った大人の人達がたくさんいて、緊張しちゃいます。 私たち、場違いなんじゃないかなぁ。 紅蘭:このノートに名前書くんやろ? たまき:わたしが紅蘭のも書くよ。 るーく:お二人共、芳名帳への記名は結構ですよ。どうぞ奥に。 たまき:・・・あ、はい。 たまき:お料理のいい匂いがするね。 紅蘭:ほんまやな。それにしてもえらい人数や。 なあ、皆こっち見てるで。うちらやっぱり変なんかなぁ・・・。 るーく:私はこれ以上行けませんから、ここで失礼します。 たまき:え〜?るーくさん、もう行っちゃうんですか? るーく:わからないことがあったら、そのあたりに居るメイドに聞いてください。 ほかにも、なんでも申し付けてくださって結構ですよ。 「ジュディお嬢様が、特にお世話になった方々」ということで、 実は、お二人は特別のお客様なんです。 紅蘭:き、聞いてへんで〜! たまき:ほんとですか? それであちこちから見られているんだ。 るーく:まあ、気にせずリラックスしてください。 お飲み物も御自由に取ってくださってかまいません。 では、帰りにまたお会いしましょう。 たまき:・・・るーくさん。 るーく:はい。 たまき:あの、あの・・・帰りもよろしくお願いします。 るーく:はい、お任せください。それでは失礼します。 紅蘭:飲み物ゆうても、うちら未成年やで。 ジュースあるのかなぁ。 たまき:・・・ふぅ〜。(ドキドキ) 紅蘭:ほら、見られてるで〜。 ど、どうも〜・・・。(ニコニコ) たまき:(・・・帰るとき、そのときにるーくさんに言おう・・・) ・ ・ ・ ・ パーティーは豪華なものでした。 見たことないおいしいお料理が並んで、綺麗なドリンクがあって、 ミニオーケストラの演奏があって、コーラスがあって・・・。 こんなふうな、クリスマスの過ごし方ってあるんだね〜。 なんだか落ち着かないや。 知らない人に何人も声をかけられちゃいました。 皆さん上品で、タキシードやドレスがとても似合ってます。 住む世界が違うってことかなぁ〜。(汗) ジュディ:ごめんなさい、仕事関係の人に挨拶してたらだいぶ時間取られちゃって。 パーティーは気に入ってくれた? さあ、こっちに来て。私の祖父を紹介するわ。 たまき:おじいさんですか?・・・あの?(笑) 紅蘭 :うちら、どう思われてんのやろう。 ワンパのことで余計な事したと思ってるんとちゃう? ジュディ:そんなことはない・・・と思うわ。 たまき:おじいさんって怖い人なんですか? ジュディ:大丈夫よ。こちらにどうぞ。 与田 :おお、これはこれは。 うちのジェダィがお世話になりましたな。 ジュディ:おじい様、ジュディですわ。 与田 :ほっほっほっ、まあよいではないか。 寺月さんと李さんですな。 わしが与田です。 ・・・お二人には、わしの癇癪のせいで本当にご迷惑をかけたとか。 あいすみませんでしたな。 紅蘭 :迷惑やなんて、思ったことないですわ。 おかげで、ジュディはんや、るーくはんとも知り合えましたし。 ・・・おじいはんともな。 ワンパには悪気はないんや。 これからなんかあっても、あんまり怒らんといてな。 与田 :ほっほっほっ・・・わかりました。 いや、面目ない。 ジュディから全部聞いて、反省しとります。 もう、怒ったりせんですよ。 わしには、李さんのようにはっきりと言ってくれる者が まわりにおらんでの。 つい、わがままになってしまうようじゃの。 紅蘭 :あ、・・・すんません。 与田 :かまいやせんよ。 そういうふうに言ってくれて、わしは嬉しいんじゃよ。 正直なのは良いことじゃ。 なぁ、李さん。 紅蘭 :はぁ。 与田 :この際だから、わしも正直に言うとな、 あのワンパという動物、 わしはな、・・・実はあれが怖くて怖くて仕方がないのじゃ。 ジュディ:・・・おじい様? 与田 :ホッホッホ。本当じゃよ。 怒ったフリをして、本当は震えとったんじゃ。 そして、怖がっていることを、誰にも知られたくなかったんじゃよ。 だから遠ざたんじゃな。・・・これがわしの正体じゃ。 おかげで、危うくダークサイドに飲みこまれるとこじゃったよ。(笑) ジュディ:そうでしたの。 ・・・おじい様、ごめんなさい。 たまき:ワンパは優しい、いい子ですよ。 最初に会ったときは、さすがにびっくりしましたけど。 紅蘭 :あれは大騒ぎやったなぁ。 与田 :わしは小さいからなおさらじゃ。(笑) しかしな、わしの対面を守るために、 皆に迷惑をかけるのは、もうやめるわい。 ・・・ジェダィや、わしのせいで辛い思いをさせて、 ほんとうにすまなかったな。 ジュディ:・・・そんな、おじい様〜。(うるうる) たまき:よかったね、紅蘭。 これならワンパも安心だよ。 紅蘭 :せやな〜、収まるとこに皆収まって。 ・・・まるで最終回みたいやな。(笑) たまき:え?え?そ、そうなの!? (最終回じゃないです〜!(笑)) パーティーも、そろそろ終わりです。 ちらほらと、お客さんが帰りはじめています。 るーくさんに、告白するときが近づいてきました。 一生懸命アルバイトしたお金で買って、 自分でラッピングしたこのプレゼント。 そして、私の夢を書いたクリスマスカード。 これを渡すときに私の気持ちを伝えるの。 たまき:ああ、なんかそわそわするなぁ。 ・・・紅蘭ってすごいね。 ジュディさんのおじいさんを相手に、どんどん話せちゃって。 わたしドキドキしてだめだよ。 本当に大事なときにちゃんとしゃべれるか、 すごく不安。 紅蘭:・・・うちかて、いざというときは足が震えるわ。 今もな、ほら。ガクガクしてるやろ。 たまき:・・・ほんとだ。 紅蘭:あのな、たまき。 たまき:なあに? 紅蘭:ちょっと、ついてきてほしいんやけど。 たまき:具合でも悪いの?大丈夫? 紅蘭:違うわ。そうやなくて・・・。 とにかくお願い。 たまき:うん。わかった。 たまき:どこに行くの? 紅蘭:ヘリポートや。 たまき:もう帰るの? だったらジュディさんに挨拶してから・・・。 紅蘭:今日が最後のチャンスやと思うねん。 多分もう、るーくはんとは二度と会えへんのや。 だから、はっきり聞いておきたいことがあってな。 たまき:・・・紅蘭? 紅蘭:うちな、るーくはんが来るたびに、いろいろ頑張ったんや。 思い切ってコンタクトにしてみたんも、その一つや。 工夫しておいしいお茶煎れたり 慣れない料理とか作ってあげたり、 ・・・せっかくたまきに習った料理は、 結局るーくはんに出すチャンス無かったけどな。 たまき:紅蘭、もしかして・・・るーくさんのこと・・・。 紅蘭:いままで黙っててごめんな、たまき。 堪忍な。 でもなぁ、いろいろやってみたけど、 みんな無駄や。 るーくはんには多分、好きな人がいる。 そうわかってるんやけど、 でも心のどこかで「もしかしたら・・・」って思ってるねんな。 せやから、はっきりさせたい。 今確かめんかったら、「もしかしたら」を引きずって、 ずっと後悔すると思うねん。 そんなんは嫌やからな。 ・・・とまあ、 ようするに、うちはこれからるーくはんにフラれに行く、ゆうわけや。 ほんまは一人で行きべきなんやけど、 なんやかんや言うて、怖くてな。 ・・・だからお願い、たまき。ついてきて。 たまき:だって、だって、私。 ・・・・・・るーくさんが好きな人って、誰なの? 紅蘭:本人から直接聞いて。 うちかて、ちょっとは「もしかしたら・・・」思ってんねんから。 たまき:・・・・・・。(ドキドキ) ・ ・ ・ ヘリコプターのわきに、るーくさんがいました。 紅蘭と私は、るーくさんのところに行きます。 私はどうしたらいいの? るーく:李様。・・・寺月様も。 お早いですね。もうお帰りですか? 紅蘭:あの、るーくはん。これ、うちからのクリスマスプレゼントです。 ワンパが海に落ちたとき、一緒に海に入って助けてくれてありがとう。 それとあの、いままでいろいろ、 うちらのこと気遣ってくれて、ありがとう。 たまき:・・・・・・・・ワンパが海に・・・屋根から落ちたって言う、あの時? そうか、ワンパは屋根の上にいたんだ。 るーく:そんなこともありましたね。 上から下までずぶ濡れになって、大変でしたけど、 今思えば楽しい思い出です。 紅蘭:せやな。あの日のことは、うち絶対忘れへんわ。 るーく:それに、あの時のお料理は、おいしかったですよ。 紅蘭:・・・それは、嘘や。 優しいのんもええけど、いらん嘘はつかんでええのや。 あのな・・・・。 これからする質問に答えてくれると、うれしいんやけど。 るーく:・・・はい。 紅蘭:お願い。ひとつも嘘つかんと、正直に答えてほしいんや。 そうでないと、今、うちのやってることが意味ないねん。 ・・・もう、うち喉がカラカラになって、死にそうなんやで。 るーく:李樣、・・・わかりました。 紅蘭:先にうちのことから言うとな、 うちは、るーくはんのことが、大好きや。・・・な。 でも、 るーくはんは・・・ジュディはんのことが好きなんやね。 たまき:! るーく:・・・はい、そうです。・・・ごぞんじだったんですか。 紅蘭:まあ、ぼちぼちな。 るーく:すこし、 変かと思われるかもしれませんが、 私は、ジュディ様に一生使えていきたいと思っています。 いつもお側に居たいと思っています。 ・・・ずっとあの人を、見守ってあげたいと思っているんですよ。 だから、・・・すいません。 たまき:そう、だったんです・・・か。 紅蘭:やっぱりな。 ・・・でもすっきりしたわ。 たまき:・・・・・・・・・・・・。 紅蘭:るーくはん、ごめんなさい。嫌な思いさせてもうて。 それと、正直に言ってくれてありがとうな。 るーく:・・・わたしは・・・。 たまき:るーくさん、私からのクリスマスプレゼントです。 これ、受け取ってください・・・。 るーく:あ、ありがとう・・・ございます。 わたし、何も用意してなくて、その、まさか・・・。 たまき:いいんです。 いままで、ありがとうございました。 たまき:ねえ紅蘭。荷物はそれで全部だったよね? 紅蘭:ああ、プレゼント入れといた、このバッグだけやで。 たまき:わたしも。 ・・・るーくさん、私たちをこのまま家まで送ってください。 紅蘭:え?ほんまに帰るんか? ジュディはんに挨拶せなあかんって、あんたさっき・・・。 たまき:いいんじゃない、べつに。 紅蘭:いいんじゃないって・・・たまき? たまき:ジュディさんは、私たちからみ〜んな持ってっちゃった人なんだから。 だからいいんだよ、ちょっとくらいさ。 紅蘭:・・・たしかに、ワンパもルークはんも、 みんなジュディはんが持っていってもうたんや。 そうしたら、ひどい人やな。 ほんまや。(笑) よっしゃ、帰ろか! たまき:・・・帰ろう、紅蘭。 るーく:私が叱られますよ。 たまき:叱られてください、るーくさんなんか・・・。 るーく:・・・寺月様。 紅蘭:どないしたん、たまき。 ・・・あんた・・・泣いてるんか? たまき:だって、だってさ、・・・・・・ふえっ・・・ふえっ・・・ うええええええええええええええええん! 紅蘭:あほ、まわりの皆が見とるがな。 もう〜、泣きやんでぇな〜。 たまき:ええええんええええええええん 紅蘭:お〜お〜、よしよし・・・。 なんでフラれたうちが、あんたを慰めなあかんねん。(笑) るーくはん、早いとこお願いしますわ。 たまき:うえええええええええん、うっうっ・・・ るーく:はい、わかりました。 寺月様、どうぞ乗ってください。 「レッドリーダー、緊急離陸します。・・・了解。(ザッ)」 追い風ですから、すぐに着きますよ。 紅蘭:すんまへんな。 るーくさんのいったとおり、ヘリコプターはすぐに家につきました。 ・・・それで簡単にお別れをして、 るーくさんはジュディさんのところに帰っていきました。 たまき:・・・うう・・えぐっ・・・。 紅蘭:なあ、たまき。帰ったらもう一回、二人でパーティーしような。 たまき:ぐすっ・・・・・・、え? 紅蘭:こんなこともあろうかと、ケーキを買ってあるんや。 めっちゃ美味しいとこのなんやで。 たまき:・・・紅蘭たら。 紅蘭:うち、湿っぽいのは嫌いなんや。 せやから笑って、たまき。 家に着いた紅蘭と私は、一緒にケーキを切って食べました。 紅蘭の選んだケーキは、とてもおいしいケーキでした。 わたしは、ケーキを食べながら紅蘭に、 「私もね、今日、るーくさんに告白しようと思ってたの。」 と言うと、紅蘭はケーキを口に入れたまま、目を丸くして、 「・・・ほんま?」 と言いました。 「ほんとだよ。ちょっと前から、るーくさんのこと好きになっちゃって。 だから、これからも会ってくれませんかって、聞こうと思ってたの。 でも、一緒にフラれちゃったね。 ・・・今まで黙ってて、ごめんね。」 紅蘭は、瞬くツリーの光を見ながら、 「・・・うち、るーくはんに振られて結構しんどいんやけど、 もしも、OKされとったら、もっと、しんどい事になってたんやね。 ・・・振られて、よかったんやなぁ。」と言いました。 「なんで?好きな人と一緒にいられるんだから、いいじゃん。」 わけがわからず私がたずねると、振り向いた紅蘭は私を見つめ、 「でも、たまきはツラいやろ?・・・うち、そんなん嫌やわ。」 と言いました。 私は、またちょっと泣いて、それから二人で笑って、 残りのケーキも全部食べちゃいました。 私は、私の夢を書いたクリスマスカードを捨てて、 心の中にためていたビーズの小瓶は、一つを残してみんな砂に戻りました。 ・・・でも、その「一つ」があるから、私は大丈夫です。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 一つだけ残ったビーズの小瓶は、紅蘭との今日の思い出。 私の宝もの。 おやすみなさい、紅蘭。 |