3月23日(火)晴れ
このあいだ風ちゃんに「太った」と言われてから、以前のように毎朝走っています。
ジョギングを再開したばかりの頃はさすがに運動不足を感じましたけれど、
ここのところ、なんだか体が軽く感じるようになってきました。
体重も元に戻りつつあります。
それにしても、やっぱり朝走るのって気持ちいいです。
ワクワクすることを見つけちゃうこともありますしね。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

たまき:ただいまっす〜。
    ・・・・・・・・・・・あれ?紅蘭いないの〜?
    不用心だなぁ、戸締まりもしないで。

 紅蘭:・・・お、お帰り。今日は遅かったな。
たまき:ああ。なんだ、いたの。
    言ってなかったっけ。今日は打ち合わせがあって学校に行ってきたの。
    ついでに、夕飯の材料を買いに市場にも寄ってきてさ。
 紅蘭:ほぉ、そうやったんか。

たまき:・・・そうそう。
    朝ジョギングしているときにね、砂浜に変な足跡を見つけたの。
    鳥の足跡みたいなんだけど、とっても大きいの。
    水掻きもあるみたい。

 紅蘭:・・・・・・・・・。
たまき:わたしが思うに、ペリカンとか白鳥とかじゃないかな。
    ・・・白鳥は、こんな南まで来ないか。
    ペリカンだったらいいなぁ〜。
    わたしあの下クチバシの袋のところ、一度でいいから触ってみたくてさ〜。(笑)

 紅蘭:さ、さよか・・・。

たまき:でもね、触らせてくれないだろうね〜。
    仲良くしたいのにな。
    ・・・あ、変な話ししちゃったかな。
    今日のお夕飯は鯵のグラタンね。

 紅蘭:アジやて?ガッテン!
    うち、ちょうど魚が欲しかってん。

たまき:欲しいって、・・・食べたかったって事?
    なら、ちょうど良かった。出来るのは8時くらいね。

 紅蘭:はいな。
          
          ・
          ・




たまき:・・・それでさ、わたしに新しい彼氏が出来たって噂が、仲間内で広まっててさ〜、
    ホント、びっくりしたよ。
    わたしが駅で待っていると、青いスポーツカーに乗った彼氏がやってきて、
    親しそうに話しながら、そのままどこかに2人で行っちゃった・・・って。

 紅蘭:・・・青いスポーツカーって、ふうのことやろ?(ゴソゴソ)
たまき:そうそう、そうなんだけど、見ていた人はそうは思わなかったんだね〜。
    もう、みんなニヤニヤしちゃって、気持ち悪いったらありゃしないよ。
    あれは女の子だって、さんざん説明してきたけど、
    ・・・みんな信じてないみたいだしなぁ。

 紅蘭:そら、あんたがいつまでも一人でフラフラしとるのんが、
    周りから見たら不自然に見えるからやろな。
(ゴソゴソ)
たまき:それ、・・・どゆこと?
 紅蘭:そんな恥ずかしいこと言えるかいな。
    自分で考えな。
(ゴソゴソ)
たまき:はぁ。・・・よくわかんないや。
    ところで今日の鯵、ちょっと失敗したなぁ。ごめんね。
    骨を取りきってなかったよ。
    紅蘭は気にしてなかったみたいだけど、一緒に食べちゃったの?
    いつもは骨は食べないのに・・・。

 紅蘭:えっ?えっ!?・・・いいい、いや、全然。気にならんかったで。
    ホンマ美味しかったわ〜。
    あの、ご馳走様でした。

たまき:・・・お粗末さまでした。
 紅蘭:洗い物はあとでやっとくさかい、シンクに置いといてぇな。
たまき:んー、りょうか〜い。

    ・・・う〜ん。
    今日はどうしたんだろう、紅蘭。様子が変だよ・・・。
    妙に落ち着きがないっていうか〜。
    わたしに隠し事してるのかなぁ。
    ・・・それとも悩み事かな。


    ・・・よし!

たまき:こういう時は直接聞いた方がいいよね。
    わたしがチカラになれるかもしれないし。
    ・・・ん?
    さっきは魚を料理してて気が付かなかったけど、
    家中サカナ臭いよ・・・?
    グラタン作った程度で、こんなに家中に匂いが広がるわけないし・・・。
    
(くんくん)
    紅蘭の部屋のあたりが、一番サカナっぽい。


 紅蘭:(室内)ほーらイリス、お腹空いたやろ。このサカナお食べ〜。
    ・・・う〜ん、やっぱりあかんか〜。・・・なんで食べへんの?
    参ったなぁ。

たまき:なんだろう、・・・のら猫か何かかな。
    ・・・まさか本物のイリスじゃないよね。(笑)
    「このサカナお食べ」って事は、
    せっかく作ってあげたグラタンなのに、サカナだけ抜いて持ってきたんだ。
    うう〜、ショック〜。
    
ちょっと、紅蘭!(バタン)
 紅蘭:あっ、たまき!今ドア開けたらアカン!
たまき:ふええっ!?



 足音:(ペタペタペタペタペタペタペタペター!)
 紅蘭:ああ、逃げてもうた。・・・まあ、玄関が閉まっていれば大丈夫か。

たまき:・・・・・・なに?今の。
 紅蘭:今朝、海岸で拾ったペンギンやの。
たまき:廊下が薄暗くてよくわかんなかったけど、なるほどね。
    ペンギンかぁ。

 紅蘭:そうなんや。今朝海岸で見つけてな。
    あのヨチヨチ歩くサマが可愛くて一緒に遊んどったら、やたらなつかれてな、
    うちの後にくっついてくるんや。
    ほんでな、ついつい家に連れて来てもうてん。

たまき:・・・・・・ペンギン。
 紅蘭:なぁ、ペンギンって可愛いやろ?
    どこまでも、うちの後をペタペタついてくるから、
    イリスって名前を付けたんやで。(笑)

たまき:・・・・・・ペンギン?

イリス:(ペタペタペタペタペタ)
たまき:戻ってきたよ。
紅蘭 :人間のことを、全然怖がらないんや。
    お〜よしよし。
    たぶん、たまきが見た砂浜の足跡もこいつやで。
    ペンギンの足には水掻きがあるし、結構大きいもんな。
    なぁ。



たまき:・・・・・・ねえ、紅蘭。
    ペンギンって、そこらへんにいる鳥なの?
    わたし動物園とか水族館とか、そういう施設でしか見た事ないけど?

 紅蘭:ああ、・・・うん。・・・野生のペンギンは、北半球には居てないんや。
たまき:そうだよね。・・・と言う事は?
 紅蘭:うちの新発見?
たまき:どAHO−!ちがうー!(笑)
    ・・・どこかから逃げ出してきたんだよ、きっと。
    この羽根(?)の付け根にはめてあるプラスチックの札って、
    動物園とかで付ける認識票みたいなものでしょう。
    ・・・この近くだと、市営の水族館があるけど、そこかもね。
    ちょっと電話してみようか。

 
 紅蘭:やっぱし〜?
    ・・・ふぅ〜、しゃあないな。
    うちかて、この子がどこかから逃げてきたんは分かっとったんやけどな。
    ペンギンって、前からいっぺん飼ってみたかったんや・・・。
    ほんのちょっとの間でもええから・・・。

たまき:そうは言っても、大きなプールもないし、
    素人には無理なんじゃないの?
    だいたい、何を食べるかも良く知らないんでしょう。

 紅蘭:・・・うん。ペンギンのことをネットで調べて見たんやけど、
    種類を羅列しているだけのページとかばっかりでな、
    飼い方なんて何もわからんねん。
    こいつ、サカナも食わんしなぁ。
    ・・・なぁイリス、おまえ何が好きなん?

イリス:ボエ〜〜(バタバタ)
たまき:可愛いのはわかったけど、コミュニケーションは難しいみたいだね。
 紅蘭:あんまり賢くないんかなぁ。
    一度でええから、餌あげたかったのに〜。

たまき:まあ、その子の為にも、早く元のところに帰してあげたほうがいいみたいね。
    電話してくる。

 紅蘭:キッチンに行かんでも、電話ならここにあるやん。
たまき:そうか、子機を増やしたんだっけ。どうも習慣付いちゃって・・・
    ・・・ああ、でも電話帳がないじゃん。
    電話番号調べてきて、ここでかけるね。

          
          ・
          ・

たまき:もしもし、・・・・・・あの、どうも。市内に住む寺月と言うものですが、
    今日海岸でペンギンを見つけまして、今・・・ええと、ほ、
保護しているんですが、
    もしかして、そちらから逃げ出したんじゃないかと思って・・・。
    ・・・・・・ええ。そうです、そうです〜。ああ、よかった。
    紅蘭、やっぱり市営水族館から逃げ出した子みたい。

 紅蘭:そうか。
たまき:はい。・・・いえ、怪我とかはしていません。元気ですよ。
    ただ、かなりお腹を空かせているみたいなんで、何か上げたいんですが、
    ・・・ペンギンって、何を食べるんでしょうか。

 紅蘭:たまき〜♪

たまき:・・・いいんですか?ハイ、わかりました。
    では1時間後にこの住所に。・・・いえいえ、失礼します。(ピッ)
    係員さん、とっても喜んでいたよ。2日前に脱走されちゃって、
    それ以来、ずーっと心配して、あちこち探していたみたい。
    「見つかった」って言ったら、ちょっと涙声になってた。

 紅蘭:そうか、その人には悪い事したなぁ。
    うちの何倍も、ペンギンのことが好きなんやね。


たまき:で、このイリス君の餌だけど、やっぱり魚を食べるらしいよ。
 紅蘭:そうなん?
    うちがあげた魚は食べんかったんになぁ。

たまき:イワシやアジなんかを食べるらしいけど。
    ・・・なにをあげたの?

 紅蘭:なにって、冷蔵庫に入ってた魚やけど。
たまき:冷蔵庫?・・・あれって塩ジャケじゃん。

 紅蘭:ああ〜、あれを焼くと、あの塩辛いシャケの切り身になるんか。
    うち知らんかったわ〜。

    なるほど、シャケは食べないんやね。
たまき:・・・きみ、知らなすぎ。(笑)
    材料とお料理が一致してないね。
    ともかく、グラタンに使い切れずに残った鯵がまだあるから、
    それを食べさせよう。
    生のお魚を丸呑みするんだってさ。煮たりしたのもだめらしいよ。

 紅蘭:それでこんなに魚臭いんかなぁ。
    おいで、イリス。ごはん食べよ。

イリス:・・・・・・・・・??(バタバタ)
たまき:人を怖がらないんじゃなくて、無視してるだけなんじゃないの?
 紅蘭:・・・そうなんかなぁ。
たまき:まあ、餌を目の前に出せば食べてくれるでしょ。




たまき:食べる食べる!すごい力だよ♪
 紅蘭:うちにもやらせて。ほらイリス〜、こっちの方が美味しいで〜。
たまき:なに言ってんだよう。・・・子供じゃあるまいし。
イリス:ボエ〜♪
 紅蘭:このお姉さんのは、美味しくないですよ〜。
たまき:そっ、そんなことないよ。イリス!こっちこっち!
    こっちの方が美味しいよ〜。

 紅蘭:自分かて、言うてるやん。(笑)
たまき:だってぇ〜。
 紅蘭:・・・それにしても、よう食べるなぁ。もう10匹くらい食べたんとちゃう?
たまき:ホント、流し込むように食べちゃうね。
    いくらお腹が空いてたとはいえ、こんなに大食いの子を飼ったら、

    餌代で破産しそうだよ。
    は〜い、もうお終い。イリス、ご馳走様でした。
イリス:ボエァ〜ッ!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
約束の時間よりもちょっと早めに、水族館の方がみえました。
来たばかりのときは、とっても慌てていらしたのですが、
実際にイリスの様子を見てやっと安心したのか、一緒にお茶を飲んで、
少しお話をしたあと、イリスを連れて帰りました。
ペンギンの飼育は大変だそうで、
好きでなければとても勤まらないとおっしゃっていました。


そんなわけで、バタバタした1日でしたけど、楽しかったです。
それでは、おやすみなさい。


         


   
 



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