7月10日(土)晴れ
子供が大きくなるのって本当に早いですね。
えりかちゃんの可愛がる大事な弟「真玄(まくろ)くん」に最後に会ってから
まだ2年しか経ってないのに、聞いたところではすくすく育って、
今ではえりかちゃんの胸くらいの身長があるそうです。
今日は、その真玄くんが初めてうちに遊びに来るのですが、
あいも変らず紅蘭の部屋は・・・。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

たまき:ちょっと紅蘭!
 紅蘭:・・・なんや、おっきな声だして。
たまき:ゲームばっかりやってないで、この部屋片づけなよ。
    今日は真玄くんが来るんだってば。
 紅蘭:それは知ってるけど、・・・こんなもんやろ?
    充分に片付いてるやん。
たまき:そりゃいつもよりはマシだけど、マダマダだよ。
    ほら、その辺とかさ〜。
 紅蘭:あれはな、その真玄くんとかいう子と遊ぼう思ってな、
    おもちゃやソフトをあらかじめ出してあるんや。
    どうせあとで出すんやから、今出しといても一緒やろ。
    物事は効率を考えんとな。

紅蘭の部屋

たまき:紅蘭の言うこともわかるけど、そうじゃなくて、
    私が言ってるのは、大人として子供にどう手本を見せるか、
    ということだよ。真玄君がこの部屋を見て、
   「お姉ちゃんのお部屋はこんなだから、僕の部屋もこんなでいいんだ」
    って思ったらどうするの?
    使うときに出す。使い終わったら片づける。
    子供には手本をちゃんと示さなきゃ。

 紅蘭:・・・あほくさ。
たまき:なにがよ。
 紅蘭:子供には、うわっつらだけでも良く見せようって事やろ。
    それが、あほくさいっちゅねん。
    自分のできん事を子供にせぇなんてうちには言えんし、
    うちにはうちで、子供に教えることはあるんや。
    なんであんたの言う通りにせなあかんねん。
たまき:うわっつらって何よ。
    そんなんじゃないよ。
 紅蘭:うわっつらでなかったらなんやねん。?
    それに開口早々、「ゲームばっかりやってないで」ってどういう事や。
    うちかて他にやること沢山あっていそがしいんやで。
    それをどうにかして暇を作ってゲームやっとんのに、
    そんな言い方ないやろ?
たまき:そ、それは・・・
 紅蘭:だいたいいつも、たまきは細かいことまでうるさいんや。
    常に自分が正しいと思ってるんやろ?
    もう、うんざりや。
たまき:・・・そんな。
    でも・・・、
 紅蘭:こんなんやったら、たまきは男の子と長続きせんやろ。
    こないごちゃごちゃ言われたら、いくらなんでも男の子は逃げ出すで。
    (・・・あかん、口が止まらん。)

たまき:こ、こうらん・・・・・・。
 紅蘭:な、なんや?
    (・・・・・・ヤバ、ちょっと言い過ぎたかな)
たまき:紅蘭のバカッ!!
 紅蘭:バ、バカぁ?
    なんちゅうこと言うねん!
    たまきのアホ!ドアホッ!
たまき:アホとはなによ!
    おたんこなす〜!
 紅蘭:ィヤンワン!チュージィ!
たまき:・・・なに言われてるんだかわかんないけど、なんかむかつくー!
    もうっ、知らない!
(バタン!)



 たまき:ああ〜、もう頭くるなぁ。(イライラ)
    なんなんだよ、もう。
    部屋が散らかってきたら片づけるのは当然のことじゃん。
    いっつもへ理屈つけてさ。
    この間はこの間で、「部屋がちらかるのは熱力学第二法則や」
    とか、わかったようなわからないようなこと言ってさ。
    ・・・うう〜、まだ手が振るえてる。
チャイム:ピン、ポロロ〜ン
 たまき:あ・・・、えりかちゃんたちだ。
     う〜、深呼吸深呼吸・・・。

真玄君初登場

たまき:いらっしゃいませ。(ニコニコ)
えりか:あっ、先輩。こんにちは。
    お約束通り、真玄くんを連れてきましたよ〜。真玄君ご挨拶は?
 真玄:こんにちわっ。
たまき:真玄くんも、いらっしゃいませ。
    お姉ちゃんのこと覚えてる?
 真玄:うん。たまねーちゃんだよね。
たまき:そうだよ。真玄君大きくなったねぇ。
 真玄:えへへ。
たまき:あ、大人の歯もはえたんだ。
    前に会ったときには、前歯がなかったもんね〜。
 真玄:ん、・・・んむぐ。
たまき:あっ、いじわるしないで見せてよ〜。
えりか:まあ、立ち話もなんですから、
    お邪魔しますよ。
たまき:あ、ごめんごめん。
    どうぞ。
 真玄:おじゃましま〜す。
たまき:・・・ねえねえ、えりかちゃん。
    うちのチャイムは「ピンポン」としか鳴らないはずなんだけど、
    どうやって「ピンポロロン」って鳴らすの?
えりか:あれは〜、・・・フッフッフ。

 紅蘭:おう、えりか。よう来たな。
たまき:・・・あっ。(キッ)
 紅蘭:フン。
えりか:紅蘭、こんにちはッス。
    ねえねえ、見て見て。
    この子がこのあいだ言った、えりかの愛する弟、真玄くんで〜す。
    真玄くん、このメガネのお姉ちゃんが紅蘭だよ。
 紅蘭:はじめましてやな、真玄くん。
    うちが紅蘭や。よろしゅうな。
 真玄:紅蘭さん、はじめましてっ!
 紅蘭:ええご挨拶やね〜。でもな、
    「さん」なんか付けせんでも、うちのことは「紅蘭」でええよ。
たまき:これだけ歳が離れてるんだから、さん付けしないとかえって変じゃないかなぁ
 紅蘭:・・・うちが「ええ」っちゅうてんねんから、ええやろ。
    もう、イチイチイチイチ・・・。
たまき:ああそうですか、すいませんね。
えりか:・・・・・・・・・?

 紅蘭:真玄くん、うちの部屋に来ぃへんか?
    おもちゃやら、ゲームやら、おもろいもん何でもあるよ。
 真玄:えっ、ほんとう?
 紅蘭:ほんまや。な、一緒に遊ぼう。
    うちの部屋に、おいで〜な。
 真玄:お姉ちゃん、いい?
えりか:うむ。行ってくるがよいでおじゃる。
 紅蘭:えりか。弟はんお借りするで。
    ほな真玄くん、行こか〜。

たまき:・・・ああ、行っちゃった。
    おもちゃで釣るなんて、ズルい・・・。
えりか:真玄君も紅蘭のこと気に入ったみたいですね。
    真玄君てけっこう人見知りするとこあるのに、一人で行っちゃった。
たまき:つまんないの。
    せっかく真玄くんとお話しようと思ってたのに。
えりか:じゃあ、えりか達も紅蘭のところに行って、一緒に遊びません?
たまき:え、・・・やだよ、紅蘭と一緒なんか。
    行きたかったら、えりかちゃんだけで行っておいで。
えりか:・・・せんぱい?
    紅蘭と、何かあったんですか?
たまき:別に。
    なんにもないよ。
えりか:・・・そうですか。
たまき:・・・うん、そう。

えりか:あの、せんぱ・・・
たまき:えりかちゃん、お茶のむ?
    フルーツゼリーもあるよ。特製の大きいやつ。
えりか:フルゥツゼリィ?とと、とくせい?
    食べます食べます。
たまき:じゃあ、持ってくるね。



たまき:お待たせ〜。
えりか:おお〜、フルーツゼリー!(大型)。
    やんごとなき美しさでおじゃる〜。
ゼリー:(プルン♪)
たまき:外側にキウイ、中にイチゴが入ってるよ。
    どうぞ、召し上がれ。
えりか:あれ、真玄君や紅蘭は来ないんですか?
    てっきり一緒に食べるのかと・・・。

テラスにて

たまき:え?あ、うん。
    ・・・呼んでないからね。
    真玄君達のぶんのゼリーは、別にキッチンにあるよ。
    ただ、ゲームの邪魔しちゃ悪いと思ってさ。
えりか:でも、いつもなら声くらいはかけるのに〜。
たまき:・・・いいの。あんなわからず屋。
    まったく・・・。
    
(私が細かいこと言うのは、何度言っても直さないからじゃない。
     
私だって言いたくて言ってるんじゃないのに。)
えりか:ねえねえ、先輩。そういえばぁ・・・

たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
   
(・・・それなのに、「もう、うんざり」だなんて、ひどい。
    
自分のだらしなさを棚に上げて、よくあんなこと言うよ。)
えりか:・・・先輩?
たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
   
(それにしても、私が男の子との付き合いが長続きしないってこと、
    
なんでわかったんだろう・・・。)
えりか:先輩ったら。

たまき:・・・うんざり、か。
えりか:「ウンザリカ」って、フォークダンスか何かでしたっけ?
    そんなのありましたよねぇ。
たまき:はにゃ?・・・な、なんの話?
えりか:あれ、違いました?・・・う〜ん、
    こんなことなら、もっとフォークダンスの勉強しとくんだったなぁ・・・。
たまき:フォークダンスの話じゃないってばさ。
    そんな、やな名前のフォークダンスはないよ。
えりか:じゃあ、真剣な顔でなにを考えてたんですか?
    せっかくえりかがここに居るのに、先輩の気持ちがここにないんじゃ、
    えりか、つまんないです〜。
たまき:・・・ごめんね、えりかちゃん。
    あ〜あ、なにやってるんだ、私は。
    
(もう、み〜んな紅蘭が悪いんだ。)
えりか:
たまき:はいはい。
    ・・・私も気分転換したいし。
    じゃあ、浜に降りようか。
    そだ。真玄君も呼んでおいでよ。
えりか:・・・紅蘭は?
たまき:あれは呼んだって、どうせこないよ。
    私は先に行ってるね。
えりか:はぁい。


たまき:「うんざり」・・・私の嫌いな言葉。
    昔、「もう、うんざりだよ」って言われてフラれたことあったっけ。
    なんだか全てを拒絶されたみたいで、悲しかったな・・・。
えりか:せんぱ〜い、
    真玄君、連れてきましたよん。
 真玄:紅蘭が、行ってくるとええわって。だから来ちゃった。
    ねえ、たま姉ちゃん。ここで泳いでもいい?
たまき:え?海で?
    ああ、このあたりは泳いじゃいけないところなの。
    すぐに深くなっているから、入ると危ないよ。
 真玄:ぼく、いっぱい泳げるよ。
    それでもダメ?
たまき:うん、ダ〜メ。海は危険なところなんだよ。
    波打ち際で遊ぼうよ。私と砂のお城つくろう。
 真玄:うん。おっきいのつくろうね。たま姉ちゃん。

たまき:えりかちゃんは? 一緒に作ろう。
えりか:えりかはここで見てます。
    砂を掘るとラスティーなツメが痛んぢゃいますいますから・・・。
たまき:あ、そうか。
えりか:タカラ関係のえりかとしては、お城を作りたいのは山々ですけどね〜。
    
真玄君がんばれ〜!
 真玄:は〜い。(元気に手を振っている)
たまき:・・・・・・・・・・・・。
    (真玄君は元気だな・・・。
     わたしにも、ああいう悩みのない、子供の頃があったっけ・・・)



    (ざくざく、ざくざく・・・)
 真玄:あ、ねえ、たま姉ちゃん見て。
    きれいな貝殻。
たまき:ホントだ。
    砂に埋まってたんだね。

貝殻発見♪

えりか:ドレドレ見せて見せて。
    ねっ、真玄君、これお姉ちゃんにちょうだ〜い?
 真玄:いいよ。
    
・・・あっ、やっぱりダメ。
えりか:<((◎o◎;))>(がんっ・・・)
 真玄:僕、もっと探す〜。
    たま姉ちゃんも探して。
えりか:あぅぅぅ〜・・・。
たまき:いいよ。
    もう少し向こうに行くと沖に根があるところがあるから、
    キレイな貝がたくさん落ちてるかもしれないよ。
 真玄:じゃあ、そっちに行こう。


 真玄:こっちがわには、ホントにいっぱい貝殻があるね!
    ほら、こんなに大きいの。
えりか:貝殻、いっぱい集まったね。(ジャラジャラ)
    これキレイじゃない〜。
 真玄:・・・あげないよ。
えりか:<(@O@;))>(がぁ〜ん)
    
・・・真玄君はお姉ちゃんがキライ?

たまき:真玄君、これどうなかな。
    縞模様がついててきれいでしょ。
    これはクチムラサキダカラっていう名前なんだよ。
 真玄:・・・ピカピカしてる。
    ありがとう、たま姉ちゃん。
たまき:これなんか私の好きな貝殻。これはウミウサギの仲間。
    小さくて可愛いよね。
 真玄:たま姉ちゃん、いろいろ知ってて凄〜い!
たまき:ホッホッホッ。
   (なんちて、名前を知っている貝だけ持ってきたの〜)


たまき:・・・どうしたの、えりかちゃん。
えりか:お話してても、先輩はウワノソラ。
    真玄君は貝殻を一つもくれない。
    えりかは寂しいです〜。ヨヨヨ。
たまき:おお〜、よしよし。
えりか:真玄く〜ん。
    なんでお姉ちゃんに貝殻くれないの〜?
 真玄:だって〜、おねえちゃんは元気だもん。
    あげなくても大丈夫でしょ?
たまき:・・・?

 真玄:この貝殻はねぇ、みんな紅蘭にプレゼントするんだよ。
たまき:紅蘭に?
    ・・・どうして?
 真玄:紅蘭ね、二人でゲームやってたら、だんだんショボンとしちゃって、
    「はぁ〜」って、ため息ばっかりついてるんだもん。
    なんだか可哀相だったの。
    でも、キレイな貝殻をあげたら、きっと元気になるよね。
たまき:・・・紅蘭がため息?
    そうなんだ・・・・・・。
    そう。
 真玄:うん。
    お姉ちゃんから、紅蘭はいつも元気だって聞いてたのにね。
    ホントはそうなんでしょ?
    だからね、多分なにか元気がなくなるようなことがあったんだよ。

たまき:真玄君は優しいね。私と違って。
 真玄:えっ?
    ん〜〜〜・・・。
たまき:ごめんごめん。困らせちゃったね。
    ・・・そうだよ。紅蘭はいつもは元気なの。
    
よし、貝殻をもっといっぱい拾おう!
    それで、紅蘭を元気にしよう!!
 真玄:うん!

たまき:ねえ、えりかちゃんも一緒に拾おう!
    ・・・えりかちゃん、なにやってるの?
えりか:え・・・えりか、もう駄目です。ゴホッゴホッ。

えりかちゃん隠遁


えりか:ひとりで寂しくって、もうヨボヨボです。
    ・・・あ〜あ。
    お姉ちゃんも、貝殻ほしいなぁ〜〜・・・。
たまき:真玄君、えりかちゃんにも少し貝殻あげたら?
    すっごく元気ないよ。
えりか:ヨヨヨ・・・。
 真玄:んもぉー。
    お姉ちゃんはしょうがないなぁ〜。(笑)

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紅蘭とは、そのあと仲直りしました。
二人一緒に居れば、お互いの価値観がぶつかるのはしょうがないですもんね。
ただ、ぶつかっても、お互いに思いやる気持ちを忘れずに。
優しい真玄君に教えてもらいました。

実はハンズで買った貝

それじゃあ、
おやすみなさい。

   
 



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